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#18 まどろみと青髪の少女

 打ち上げから一夜明け、宿代も確保していたアルはコトハを宿屋に送った後、違う部屋で宿泊することにした。


『ちゃんとウジン達にも挨拶をしてね。クエストの報酬も受け取ること』


 ユンニをすぐにも発てたが、コトハの忠告を受けたアルは普段パーティで集まっているという時刻まで宿屋で待機することになる。


「アル君、お待たせ」


 昨晩に約束していた通り、コトハが部屋の戸をノックしてアルを迎えに来る。


「ん……ふわあ。おはよう」

「おう、おはよう。ずいぶん大きなあくびだな」

「昨日の夜は帰ってからこれ書いてたから」


 眠そうにまぶたを擦るコトハはアルに1つの封筒を手渡した。


「ジフォンに着いたらお母さんに渡してほしいの」

「任せろ。俺の本職だからな」

「お願いします。郵便屋さん」

「ま、世話になったし代金はとらないでやるか」


 手紙には切手が貼られていなかったがアルは大目に見ることにした。

 そして2人は冒険者が行き交い活気のあるユンニの街並みを過ぎながら、ギルドを目指して進む。


「ここも最後か……」


 アルにとってはこれといった思い出は無かったが、珍しい体験はできたのでギルドの階段を、感慨深く踏みしめる。


「あう……」

「ふらふらだな……ほら、手貸して」


 一方、徹夜をしていたコトハは危うく足を踏み外しかけ、アルの腕に倒れかかった。

 見かねたアルはコトハの手を引いて、時間をかけてゆっくりと階段を上がる。


「2人はどこらへんで待ってるって?」

「掲示板向かい側の、鳥の木像の下辺り」

「はいはい……結構多くないか」


 鳥の像は多くの冒険者パーティの待ち合わせ場所でもあるようで、ウジン達かと思うと別の鎧騎士であったりして、アルはしばらく捜索に苦戦した。


「ああ、いるじゃん。おーい」


 クエストでないことを失念していて、アルはようやく鎧を身に着けずラフな格好でいたウジンとサジンを見つける。

 ギルド内の雑踏を、アルは後ろからコトハの背中を守りながら近づいていき、ウジン達と互いに存在を確認し合った。


「あっ……アルにコトハ。えーと、よくはないところに……」


 アルを迎えたのは苦い顔をしたウジンであった。

 というのも、アルが近寄ってようやくわかったが、ウジンは何者かに詰め寄られていたのだ。


「来たわね、コトハ。さて、今日こそいい返事を聞かせてもらいにきたんだから」


 コトハの方を振り向き直ったのは薄い青色の短髪の少女で、つばの広い藍色の帽子をかぶり、手には猫を模した金属製の杖を握っていた。

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