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#16 反省会と満点の正解

 夕食には早い時間帯だったのでレストランは比較的空いており、灰の回収で汚れた手をおしぼりで丁寧に拭いて待っていると、アルとコトハのもとへそれぞれ山盛りのステーキとカレーライスが配膳された。

 鉄板の上で湯気を立てているステーキをしばらく見た後、アルはため息をついた。


「どうしよう。すごい自己嫌悪だ」

「ますます四流のこと言えなくなっちゃったね」

「剣の腕は四流に違いないな、っておバカ。なにをやらす」

「でも仕方なかったよ。私達に被害は無しで済んだから、アル君の判断は全く悪いというわけじゃない」


 希少な樹木への物的損害を出してしまい、アルはそれに関する3本の四竜征剣を所持していることを公にできなくなったわけだが、コトハは人の命には代えられないと励ましの声をかける。


「コトハ。俺はウジン達を信じてダースクウカだけを見せて、次のクエストに参加させてもらおうと思ってる。きちんと話せば預かりものだって理解してくれるだろう」


 アルが咄嗟の行動をして招いた混乱であり、その反省を次回に活かそうとまずはコトハに相談を持ちかけた。


「そうね。パーティにいる分には心強い。けどその代わり、抜けた時は反動も大きい。アル君はパーティのリーダーだとして、そういう時はどうする?」

「引き留めたいパーティメンバーか。報酬の分け前をよくして優遇するかな」

「……アル君らしくていい答えだけど不正解」


 コトハは首を横に振って、元冒険者だった親戚から聞かされたという、具体的な正解を口にする。


「身近な人を人質にするんだって」

「おい、それって……」

「ユンニではギルドの外でも冒険者を見ない日は無い。情報はすぐに広まるわ。みんながアル君みたいにいい人ならいいのにね」

「……悪い。軽率な考えだったな」


 今まではたまたま運がよかっただけで、冒険者を真剣に目指していたコトハの話はアルにとって耳に痛いものだった。

 当のコトハも、アルに迷惑をかけてしまうことを自らの口で説明するのは辛いことであった。


「簡単な解決法がある」

「ん?」

「パーティとしてみんな守ればいいんだ」

「……! お前はっ、ブレン・ハザード!?」


 薄暗い店内ではあったが客や店員の行き来は察知できたが、そのフードの男は音も無くアルの隣の席に座っていた。

 四竜征剣をアルに託した剣士、ブレン・ハザードだ。


「よせ。話してたそばからそれを見せびらかすつもりか」


 ブレンはアルの右手人差し指と中指を握り、剣を抜かせないようにする。

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