あのイケメン魔術師が 6
私とリリーはジャコモの招待でラシュザ家へ行った。
そこでは豪華な料理が、金色に輝くお皿に乗って出てきた。
目がチカチカするのよねぇ。 何でも金ピカにすればいいんじゃないんだからやめて欲しいわ…
ラシュザ家当主のセンスに相変わらずの疑問を抱く。
「…さて、リリーちゃん。」
料理が終盤に近づいてきた時にジャコモがリリーに声をかけた。
リリーの今日の服装はお尻に白い丸いしっぽがついた、ピンクのエプロンドレスにフリフリの白のブラウス。 そしてうさ耳のカチューシャ。 うさぎ天使爆誕!!! かっわいいーー!!
「リリーちゃんに聞きたいんだけど…この本に書かれている『精霊を口寄せする』方法は知っているかな?」
そう言い、一冊の本を見せてきた。 リリーには難しそうなので私が代わりに目を通す。
精霊の口寄せとはその名の通り、精霊を自分の体に憑依させ、物事の予言を行う、と言うものである。
「…ジャコモ、この本、ナーハヤ語で書かれているんだけど、どこで手に入れたの? そして、癖のあるナーハヤ語、分かるの?」
実はジャコモとアルには小さい頃にナーハヤ語を教えていたの。 2人とも賢いので基礎はバッチリ覚えていたわ。 でもこんな癖のある本は基礎だけでは読めないはずなんだけど。
「この本はナーハヤのある商人から手に入れたものだ。 古本屋を渡ってきたんだろうねぇ。 確かに文法は無茶苦茶だ。 しかし、こっちにはアルが持っている辞書があるから、ある程度の意味がわかったのさ。 あとは商人にもお願いして訳を頼んだんだが…」
「これは商人には難しいでしょうね。 文法が無茶苦茶ではなく、ナーハヤ語でも古い文法なのよ。 これを未だに使うのは王族の秘密書類ぐらいかしら? …にしてもアルはあの辞書、まだ持ってたのね。」
「あぁ、君の代わりに持ってたんじゃない?」
ジャコモが言うことが意味が分からず首を傾げた。 ジャコモははぁとため息をつき、リリーはびっくりしながらこちらを見る。
…えっ、みんなどうしたの??