あのお店、開店です 13
俺たちはガイオ殿の案内で王城の地下水路に向かう。 ガイオ殿はなるべく早く、そして魔物が出ない道を選んでくれているようで、魔物には遭遇する事なく、王城の地下水路の入り口まで来た。 王城の地下水路入り口が近い為に先ほどとは違い、水路に電球が通っていて、明るい。 たいまつももう、必要ないようだ。
「さて、そろそろ出るぞ… 若者ども、気を張れよ!」
ガイオ殿が叫ぶ。 その時、メリメリと音がする。 音がした横の壁を見つめていると小さな穴が開き、そして、だんだん、大きな穴となり、ドーーン!!と大きな音を立てた。
そして大きな、俺たちの身長をゆうに超え、地下水路いっぱいな大きな体を動かす…それは長い腕が数十とついた巨大な蜘蛛のような、ムカデのような魔物だった。
「こんなにでかいの!?」
「アルファド、落ち着け。 お前ら兄弟は強い。 私が囮になるからその間に腕を全て斬れ!」
そういうとガイオ殿は蜘蛛型の魔物に向かって走り出した。
「私たちも行こうか、アル!」
「おう!」
俺とジャコモも剣を構えて魔物に向かって走り出した。 ガイオ殿は魔物の注意を引きながら魔物の腕による攻撃を避け、時には剣で受け止めながら逃げている。
お陰でこちらは残りの腕が狙いやすい。
俺は大剣を使い、大きく振りかぶりながら勢いをつけて魔物の腕を切り落とす。
ジャコモは両刀使いだ。 巧みに2本の剣を操り腕をどんどん切り落とす。
1番驚くのはガイオ殿だろう。 どこにもありそうなあの細い剣で太い腕の攻撃を受け止め流しているのだから。
「ガイオ殿! 腕は全部斬り落とした!」
ジャコモが叫ぶ。
魔物は腕がなくなってもなお、気持ち悪く動き続けた。
「そいつの体は硬い。 アル、お前の大剣なら真っ二つにできるだろう。 頼んだぞ。」
ガイオ殿に頼まれて、俺は大剣を精一杯の力で振り落とした。
魔物の体は見事に真っ二つ。