あのお店、開店です 4
翌日、再びナナやハリー君とリリーちゃんを呼ぶ。 もちろん、作戦の打ち合わせだ。
俺はジャコモの計画を伝えた。
「ふぅん。 流石ジャコモね。 昨日、あいつが第二騎士団大佐長って聞いたわ。 第二騎士団といえば剣術の手練れの集まりはもちろんのこと、頭脳戦も求められると聞いたわ。」
「…ナナ。しっかりしたことを言っている中悪いんだが… また寝転びながら聞くのやめない??」
昨日に引き続き、ナナはソファにゴロンと寝転がり、ぷかぷか浮いていた。
「これがマイスタイルなのよ〜うふふ。」
そんな顔されたら何も言えない。 …はぁ、なんて俺は情けないんだ。
「…師匠、一応魔術使わないと爆発しちゃうんで。 本当にすみません。」
ハリー君が代わりに謝る。 そうだった。 ナナは魔力垂れ流し人間だったな。
「アル、一つ確認したいんだけど、経営については私たちに任せるってこと?」
「あぁ。 売上まで管理はしない。 獲物が飛びつけば問題がないからそちらに任せるよ。 売上はお前たちのものだ。」
それを聞いてハリー君の目が輝く。 ハリー君には後でリザルト帝国の節税方法を教えてあげよう。
「アルファド様、大丈夫です! 節税方法も旦那様や前執事に教わっております!」
ハリー君って本当に抜かりないよな。
「ところで、私はあの、主大門の結界を張り直さなくてもいいの?」
そのときバーーン!と扉が開き、ジャコモが登場した。
「それはとりあえず無視してもらおう!」
「…ジャコモ、何でお前がいるんだ。」
「いやぁ。この部屋には盗聴器が仕込んであるんだよ! アルが答えられない時は登場しようと思って!」
自分の家に盗聴器… この人の頭の中、どうなってるんだろうか。
「ちょっと、ジャコモ! あの主大門から魔物が入ってくるなら結界を張った方がいいに決まっているわよ。」
ナナが話しかける。
「いやぁ、ハリー君が農場の方の結界を張ってくれたでしょ? あの後の第一の奴らの動きがおかしかったんだよ。 例の農場へ行ったり、主大門を調べたり… なぜか魔物が出るところばかりに出現する。 おかしいだろ? なので少し泳がせそうかと思ってな。」