あの場所へいざ調査 7
ハリー君を抱き上げたその男…身長は2メートル近くの大きな男は体つきも逞しく、しかし、顔立ちは優しそうな美男子であった。 名は第二騎士団大佐長、ジャコモ・ラシュザ。 俺の兄だ。
「ジャコモ第二大佐長、お疲れ様です!」
ニールサが挨拶をする。
「おっ、ニールサ君、お疲れ様です。 そして、君がハリー君だね!」
ハリー君は易々と抱き上げられたままだ。
「ジャコモ様、は、はじめまして。 …降ろしていただけると。」
「おっと失礼。 アルもお疲れ様だね。 …そしてナナージュ、久しぶり!」
『うわー、巨人じゃん。 相変わらずバカデガイわね!』
「…デガいのも悪くないみたいだけどね。」
そう言うとジャコモはハリー君を見た。 ハリー君はジャコモを尊敬の眼差しで見ている。
「あ、あの…し、失礼ですが、一体何を普段召し上がっているのでしょうか? そして、どんなトレーニングをしているんでしょうか??」
…ハリー君、俺は涙が出そうだよ。 気にし過ぎだって。
「ハリー君、私の騎士団に来るかい? 同じものを食べて同じ訓練をして生活してみる?」
「え、私には師匠が…いや、一緒に生活できるなら…いや、でも…」
「大佐長はそっこー断られたのにジャコモ第二大佐長の時はガチで悩むとか、笑える。」
と、ニールサは笑い出した。 後でシバく。
『はいはい! ハリー、こっちの世界に戻っておいで! 現実逃避しないのー!』
「ナナージュもいい加減、一度でも帰っておいで。 この結界のこともあるし…色々と複雑なんだよ。 第一がきな臭いんだ。 悪いけど君の力が必要でね。」
『…第一が?? にしてもなんで私がそこまで協力しなきゃいけないの?』
「ナナージュ…こちらは結界の件をナーハヤに訴えれる立場だからね。」
そう言ってニコッと笑うジャコモ。
『うわー、相変わらず性格の悪い巨人だこと。 わかったわよ、行けばいいんでしょ!?』
ブチッ
ナナが通信機を切ったようだ。
「さて、これで君の師匠はこちらに来てくれるよ、ハリー君。」
「…念のために王にも連絡をとっておきます。」
「うんうん! 話に聞いている通り、優秀だね。 そして、こちらのリザルトの言葉もナチュラルに扱っている。 素晴らしい!」
「おい、ジャコモ。 話に聞いた通りって一体誰が… あっ。」
俺はニールサを睨んだ。 ニールサは顔を背けた!
「いや、違うっす!! ジャコモ第二大佐長なら安全じゃないっすか! 定期報告です!!」
「何が定期報告だ! 他の団のことを話すバカがどこにいる!!」
「まぁまぁ、ニールサ君には私から直接、頼んでいるから断れないよ。 そもそもアルがちゃんと報告すべきことなんだからね。 …あと、この後なんだけど… 最後の魔物が出る報告場所、王城の地下水路には行かないでくれるかい?」
「おい。 それは一体どういうことだ!」
「第一がきな臭いと言っただろ? 最近、怪しい身なりのやつが第一に内緒で出入りしているという報告があった。 そしてなぜかあの令嬢の父親もな。 地下水路は第一の管理下だからもう少し泳がせるべきだ。 ハリー君、いや、ナナージュが大魔術師であることも今は伏せておいた方がいい。」
…一体、何が起きているんだよ、城内では。