あの場所へいざ調査 4
次に向かったのは裏国境。
裏国境には第二騎士団がいるので事情を説明して、調査のための魔法陣が発動された。
「終わりました…」
ハリー君が神妙な面持ちでこちらを見る。
そして、魔物封じの結界の下準備のための道具をこちら側に取りに来た時、誰にも聞こえないように、誰にもわからないように俺に耳打ちした。
「ここは違います。 人払いを。」
ハリー君が結界を張るから…と第二騎士団の者達を追い出した。
そしてハリー君の口が開く。
「信じられないですが、ここは中からこじ開けられてるみたいです。」
「えっ、何だっ…うぐっ」
ニールサが大声を出しそうになったので口を塞ぐ。 万が一第二の奴らに聞かれては大変だ。 にしても、大変なことになったな。
「とりあえず、結界は張りますが、こちらは持つかは分かりません。 また無理矢理開けられるのは防ぎようがないんですよ。」
そうハリー君が言うと、農園の時と同じように、1時間かけて魔法封じの結界を張ってくれた。
「では次に移動しましょう。」
ハリー君がそう言うと、うちのニールサが止めた。
「はいはーい、今日は終了でーす! …ハリー君、栄養剤飲みながらやってるけど、今日の魔力の消費量、半端ないよね。 これ以上やると明日使い物にならないんじゃない??」
ニールサの言う通りだ。 魔力のことは全く分からんが、明らかに働かせ過ぎな気がしていた。
「すまなかった、ハリー君。 ニールサの言う通り、働き過ぎだ。 …よかったら今日は評判のレストランを貸切にしてあるからそちらで晩御飯でもいかがかな。 …君の好きなものリストを君の師匠から貰ってね。 帝国一番ビーフシチューの評判のいいお店を押さえておいたよ。」
ビーフシチューと聞いてハリー君の目が少し大きくなり、輝く。
「うっわ。 公爵家出たっ。 大佐長ってそういう時、ありますよねー。」
「何を言ってるんだ。 せっかく公爵家に生まれたのだからこういう時、大切な客人をもてなす為に家を使うんだよ。 …ニールサも今回の遠出の労りとして誘おうと思ったけど…」
「うそうそ!! 大佐長! 尊敬してますって! 大佐長、よっ、男前っ!!」
…こいつの調子良さは天下一品だな。