あの大魔術師の秘密と現状 4
「師匠ー!師匠ーー!」
ハリーの声がする。
「はっ。」
どうやら長い間過去を思い出していたみたい。 悪い癖が出た。
「ナナ、一つ聞きたいんだが、ナナはあの、大魔術師なのか? 2つの召喚物を率いて、魔物の群1万倒した隊の指示者の。」
アルが聞いてきた。
「ええ。 間違ってないわ。 そして、その噂を直すと、2つの召喚物ではなく、2人の家族ね。 私はこのハリーとリリーのお陰で魔物討伐隊で活躍することができたの。」
「…師匠様、急患がきた。」
その時、リリーが声を重ねてきた。
私とハリーは店舗の方へ急ぎ、私は真ん中の紫のソファでどっしりと構える。
ガランガランと店のベルが鳴ったと同時に声が響く!
「ナナちゃん! 大変だ!! ロキアの野郎、腕2本、切っちまった!!」
そこには隣家のおじさんと、ロキアと呼ばれた青年がいた。 ロキアさんの腕は綺麗に切れており、おじさんがロキアさんの腕を冷やしながら持ってきた。
「うう…。 痛い、痛い、痛い!!」
誰かが軽い痛み止めの魔法をかけてくれたようだが、ロキアさんの痛みはそれぐらいでは気持ちほどしかなくならないはずだ。
「ハリー、結界!」
「了解しました。」
ハリーは手で印を結ぶ。 そして清潔な部分を作る。 ハリーの魔法は印を結ぶタイプなので毎回、魔法を発動させるたびに印を結んでいる。
私はまずはロキアの痛みをとってやり、早々と腕をくっつけた。
「はい、お終い!!」
我ながら素早い、いい仕事した。 6秒って過去最速じゃない?
「ちょっと!! 右と左、逆についてるじゃん!! 治してよ!」
ロキアさんが叫ぶ。
声でかいなぁ。 …面倒だな。
「あれじゃん? 右と左逆でも困らなくない??」
「困る、困るから!!」
「…師匠、可哀想ですよ。」
ハリーに言われると胸が痛むな。 仕方なく、右と左の手を入れ替える。
「ふぅ。 ナナちゃん、ありがとう。 また今度美味しい猪の丸焼き持ってくるわ!!」
ロキアさんがニコニコしながら言う。
「あいー。 でもロキアさん、その腕、猪を罠にかけようと思ってやったんでしょ? 安全グローブつけてなかったんでしょ?? これからはちゃんとグローブつけなさいよ。 じゃないと、本当に手を逆にするよ。」
それを聞いて、ロキアさんの顔が青くなる。
「わ、わかってるって。」
ロキアはそういうと、そそくさと店を離れていった。
「あいつは困ったやつだなぁ。 ナナちゃん、ありがとうな。」
隣家のおじさんも私にお菓子を手渡し、帰っていった。 おじさん特製のクッキーじゃん! 美味しそう!
部屋を覗いていた、騎士2人組はこちらをポカンと見つめている。
その後2人で何か言い合いが始まったようだ。