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あの大魔術師の秘密と現状 2

そう、ここにいる、ハリーとリリー。

私を師匠なんて呼んでくれているけど、私は彼らを家族だと思っている。


ハリーと初めて会ったのは、ナーハヤ大国が魔物に不利だった時代、治安が不安定の時に大都市ユックスで出会った。 あれは私が10歳、ハリーが5歳の時であった。 母がこのナーハヤ大国の王族だったこともあり、とある事情で定期的にこの国に通っていたのである。


母と一緒にユックスを歩いていた私は、1人の小さな少年に会った。 全身汚れていた。 赤い長い髪と思われたが色が汚れでくすんでいたので血のような不気味な髪色に見えた。 服もボロボロだった。 人々はその少年を避けて歩く。 私はそれでも少年に惹かれて、気づけば小さなその手を取っていた。 少年はとても驚き、目を丸くした。 大きな目だった。

私が母を見つめると、

「そうね。 君も一緒に行きましょう。」

と汚れた少年を連れて行ったのである。 そう、それがハリー。


ハリーの両親は分からず、生まれた時から地下水路にいたらしい。 そこで地下水路に住み着いていた老婆に拾われ、育てられた。 しかし、その老婆はハリーと私達が出会う1週間前に亡くなったらしい。 生きる術を知らないハリーは街を彷徨い、物乞いをしていたのである。

ユックスには母名義の別荘があった。 ナーハヤ大国に滞在する時はいつもそこを使うのである。 別荘でハリーを綺麗にして、一緒に住むことにした。 といっても、私も母もリザルト帝国の人間である。 いつもここにいる訳ではないのでハリーは常住している年配の執事とその妻に任せることにした。


ナーハヤ大国に通う度に母はハリーに魔法を教えた。 「自分を守れますように」と防御魔法を教えたのだ。 しかし、予想以上にハリーに魔法のセンスがあり、面白いほど吸収していったのでついでに結界も教えていた。 この2つについては正直、ハリーには敵わない。 ハリーの結界はナーハヤいちと言えると思う。


そして、リリー。

リリーとの出会いは私が18歳の時である。 あの時、すでにリザルト帝国から逃げていた私は、ユックスの別荘を売り払い、ユックスから少し離れた郊外に、小さな家を買い、ハリーと2人で住んでいた。 ちょうど年配の執事たちが全てをリタイアして息子夫婦と一緒に住むという話になったからである。 元、完璧令嬢の私は家事は充分に出来たし、金融面でも上手い事転がす才能があったため、お金には困っていなかった。そして、ハリー。 ハリーは私よりも家のことを完璧にこなしていた。 どうやらハリーは根っからの天才らしく、ユックスの別荘にいた執事に頼み込み、色々教えてもらっていたらしい。 13歳において完璧な執事であった。

あれはある雪の降る夜であった。

今日は冷えるなと思っていると、カタカタとなる窓。 いつも以上に窓は白くなっていき、それが水色のもやになり、私に近づいてきた。 私は怖くて声を出せず、ただそうなって行くのを見ていた。 そしてもやは声を出す。

『…ケテ。 ワタシノカワイイ…タスケテ…。』

もやが助けを求めたようだった。 私は自身の目に魔法をかけて、よくよく目を凝らす。


精霊だ。

それももう死んでいる…

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