あの大魔術師の秘密と現状
久しぶりに幼なじみに会えて嬉しい。 アルファド…アルは私の顔が変わってないって言ったけど、アルこそ笑顔は変わっていない。 アルとは15年以上会ってなかったというのに、あの幼い時のいたずらした日々が懐かしい。 そして昔から変わらない不思議な髪色。 美しい深い緑色。しかし、騎士なのであろう。 体つきがしっかりとしており、背が高く、短髪のゴツめのイケメンとなっていた。
アルファド・ラシュザは武道派一家でラシュザ家の次男。 ラシュザ家は代々騎士団の隊長になっていた。 そして、私の父も同じく、武道派であり、騎士団を従えており、アルの父と仲が良かった。 その関係でラシュザ家に遊びに行ったり、アルがマジュク家に来たりと、本当に仲が良かった。 いたずらなアルは私に無茶苦茶な言葉使いを教え込み、両親によく、咎められたものだ。しかし、私がヤードと婚約をしてから、花嫁修行などが忙しくなり、また、アルも7歳で騎士団専用のクラスがある学校へ通い出したこともあり、会う機会がなかったのである。
私は家にアルと、そして、彼の部下だという、私の胸をディスってきた失礼な、ニールサという若者を案内した。
「ただいまーー!! ハリー! リリー!」
玄関を魔法で開ける。
「師匠、お帰りなさい。 無事に客人に会えたようで何よりです。」
ハリーが店舗部分で待っていてくれた。
ここは私の店「ミラレス」 何でも屋。 占いもやれば、魔法を使った治療も、物を直したり、学習も教えたりする。
「師匠様ーー!」
リリーが扉を開き、走ってきた勢いで私に飛びついてきた。
可愛い。 天使。 私の顔は今、この世一だらしないことになっているであろう。
「さて、みんな、奥の応接間へどうぞ。」
私はそう言うとみんなを中に通して、座らせた。
私は部屋の中心にある、ソファベットにだらしなく座る。
「えっと、改めて…オレはニールサ・フェリーで、第三隊騎士団2等やらせてもらってまーす。 ここ、ナーハヤ出身っす。」
そういうと、ニールサはみんなに握手を求めてきた。
「そして、私が、アルファド・ラシュザ第三騎士団大佐長だ。 ナナージュ・マジュク嬢とは幼なじみでな。 よろしく。」
アルはその年…確か1つ上だから24歳よね? 24歳で部の一つの騎士団の大佐長を任されたの!? 私が帝国にいたときは平均年齢30歳と聞いたことがあるわ。 アルが如何に優秀か分かる。
「あ、あの! オレ、色々聞きたいことがあるんですけど…」
そう、ニールサが言う。
「ナナージュ嬢がどうしてそんなに魔力があるんですか? あの、溢れてますよね…魔力。 それに奥の2人もおかしいんですよ。 歳のわりには、魔力が多すぎます。」
ほう…この子…
「ニールサ、あなた、さては『鑑定士』なのね。」
鑑定士…それは人がどれだけの魔力をもち、どんな能力を持っているかを視ることができるレアな魔法の持ち主である。
「は、はい…。 今まで大佐長には内緒にしてましたが、『鑑定士』持ってます。 ナナージュ嬢の鑑定、魔法の種類や力が大き過ぎてオレには曖昧な鑑定しかできないです。 こんなこと、生まれて初めてで。 そして、ハリー君は結界、防御を得意としてますね。 …しかし、心を読む魔法は持ってませんね。 一体…。」
「あぁ、これは私の努力です。 人の表情、瞳孔の動き、空気、汗の量、動きなど全て読み取って心を詠んでます。 魔法は一切使ってないですよ。」
うちのハリーが答えた。 秘密を易々と話してもいいものだろうか?
「師匠、心配ないです。 努力の賜物ですから誰も真似できないですし、誰も防ぐことはできません。 例え師匠が目を閉じたとしても何を考えてるかなんてすぐわかりますよ。」
やだこの子本当怖い。
「そして、後ろの嬢ちゃん… 魔力の流れがまた普通の人と違って… こう、綺麗というか、澱んでないんですよね。」
ニールサ、相当な精度の『鑑定士』ね。
「そうなの! リリー、精霊とのハーフなの!! だからね、これからの事がわかっちゃうの。 でもね、基本的には使っちゃダメって言われてるの…お兄さん、よくわかったね!!」
リリーが元気よく答える。 可愛い。 神が作りし最高傑作。