あの大魔術師、苦戦する 4
私はアルに連れられて中心から離れたところにある、城と街が見下ろせる小高い丘へ来た。
「…風が気持ちいいわね。」
私は丘に立ち、街を見下ろしながら風を全身に浴びた。 心地いい。
「さぁ、訓練を再開しよう!」
「はっ?」
「ここで訓練するのも気分転換だろう!」
「えっ、本気で言ってるの? 気分転換ってそういうことなの??」
「本気だ。 ここで訓練すれば風も気持ちいいから汗も爽やかにかける。 第三のやつらにもここで訓練させるんだよ。」
こいつ訓練のし過ぎて頭おかしいのかな?
まさか訓練のためにここに連れてきたなんて。 いや、さっき2時間ぐらい訓練したじゃん?
「いや、私、そろそろ帰ろうかなと。」
「今日はお店は休みだろ? 酒屋で酒を浴びて、酔っ払いながらより健康だ。」
…アルはなんで私のお休みパターンを知っているんだろうか。 いや、たまにはリリーと一緒に買い物行くしっ!
「さぁ、ナナ! これつけて! 走るぞ!」
アルがキラッキラ輝く笑顔で重いリュックを渡してきた。 重さを背負って走れってことね。 嘘でしょ?
私は冗談なしでその状態で1時間走った。 後ろからアルが笑顔で迫ってくるんだよね。 …ちなみにアルは私の10倍の重さのリュックを背負っている。 あれだ、筋肉バカだ、こいつ。
ゴールは丘を下がった川のほとり。
ゴールに着き、急いで荷物を下ろし川の水を飲む。 冷たくて美味しい。
「あー、生き返るー! あっ、アル!!」
隣のアルを見ると突然、上の服を全て脱ぎ捨て、川の水で汗を洗う。
これはセクシー。 流石に私でも少しドキッとしたわ。