あの少女が欲しいもの 8
とうとうこの日がやってきた。
ナーハヤ大国の王、ハウルド王と先代精霊王が会う日である。 もちろん、通信機の水晶越しでの会談だ。
ハリー君が早めに来て水晶などの準備をしてくれた。 それに遅れてナナージュ、リリーちゃん、そしてニールサ君とジュリエッタ嬢がやってきた。
「あの…私も一緒に来てもよかったのでしょうか? 何でもナーハヤ大国の王と通信でお話をすると聞きましたが。」
ジュリエッタ嬢が不安そうに聞いてきた。
「あぁ、もちろん構わないよ。 君は半分当事者みたいなものだからね。」
私はジュリエッタ嬢の肩をぽんぽん叩く。
なぜかニールサ君が睨んでいた。 それが面白くて仕方ない。
「ジャコモ、全員揃ったようだな。」
アルファドが一番遅れてやってきた。
「リリーちゃん、口寄せをお願い出来る?」
「うん! おろせばいいんでしょ? 待っててねぇー。」
そう言うとリリーちゃんは中心に用意してあるふかふかのベットに沈み込んだ。 そして呪文のような言葉を吐く。
そうすると前と同じように青い煙がリリーちゃんを包み、強い青の光が放たれた。
『我が名は精霊先代王エド。 我を呼び出すのは…またお前か。』
先代精霊王が出てくるとナナージュ、ハリー君、ニールサ君は膝をつき深々と頭を下げる。
ナナージュって頭下げられたんだなぁ。 膝もついている。 明日ここが滅びるんじゃないだろうか?
「久しく申し上げます。 本日は現ナーハヤ大国の王と会っていただきたく思います。 ハリー君!」
私がハリー君を呼ぶとハリー君は急いで立ち上がり、通信機を使う。
そうすると向こうにはハウルド王と1人の若い男、そしてガイオ殿がいた。
向こうがこちらの様子を確認すると同時にハウルド王、若い男は膝をつき頭を深々と下げた。
『お前たちこうべを上げよ。』
その言葉に皆、頭を上げて姿勢を正した。
水晶の向こうから声が聞こえてくる。
『先代王、エド様。 私はナーハヤ大国を1番に守らせて頂いております、ハウルドでございます。』
ハウルド王は再び深々と頭を下げる。
『私はナーハヤを2番目に守らせて頂いています、ノーツと申します。』
ノーツと名乗る男… ハウルド王の息子であり、第一王子である。