あの少女が欲しいもの 2
バイロン・ナーハヤ。 ナーハヤの第二王子であり、先の魔物討伐の際に行方知れずとなり皆が探しているあのバイロン様なのか!
「リリーちゃん、それは本当なの?」
リリーちゃんはハンカチで涙を拭きながら話す。
「…はい。 絶対にバイロン様だったの。 リリーはバイロン様と仲良しだから間違えないもん! さっきね、チラッと見えたからね、予知しようと力を使ったんだけど…今は見えない。 バイロン様の未来がない状態なの。 ただバイロン様は感じるの。 ここの国にいる。」
確かにニールサ君に聞いたことがある。 バイロン様はリリーちゃんがすごくお気に入りですごく貢いでいたと。 そしてリリーちゃんの視力は普通の人の6倍。 リリーちゃんだけに見つけられることもあるだろう。
「しかし、我が帝国にいるとは… どうやって国境を抜けたのかも気になるな。」
「お願い! ジャコモさん! リリー、何もいらないからバイロン様に会わせて!」
リリーちゃんは再び涙を流した。 少女の切実なお願いを聞いて胸が痛んだ。
会わせてやりたい。そう心から思った。
「リリーちゃん、本日のデートは予定を変更して、バイロン様について調べにいくのはどうだい? 国境から調べて行きたいんだが。」
「勿論! リリーも一緒に調べたい!!」
私はリリーちゃんを連れて国境へ向かった。
国境は私の部隊、第二騎士団が管理している。 私は部隊のものがいる『主大門』へ行った。
「ご苦労!」
私が声をかけると部隊のものが急にピリッとした。 …少し気が緩んでいるようだからここの者達は特別訓練を加えよう。
「ジャコモ大佐長! お疲れ様です! 本日はどうされましたか?」
1人の部下が話しかけてきた。
「あぁ、入国履歴を見たいんだが。」
「わかりました! いつぐらいのものでしょうか?」
「ガシュ歴44年以降のものが見たい。」
「3年前からの記録ですね。 しかし、この頃からナーハヤ大国の鎖国が解除されましたので膨大な量となりますが。」
「構わん。 持ってきてくれ。」
「了解です。」