あの憎き人間 7
「まぁ、大佐長は一度ノア嬢をフっているから無視されて当然じゃないんすか?」
オレは大佐長に言葉を投げ掛けた。
「…その通りなんだが。大人気なくないのか?」
「いや、わざわざ挨拶どうのこうのを気にしてるアルの方が大人げないわよ。」
そう言いながらナナージュ様は笑った。
大佐長もこれには苦笑いしている。
「にしてもノア嬢、これからも注意して見ないといけないわよ。 それにダフネ夫人だったかしら? あの人もまた店に来る可能性も高いわ。 あの人をうまく利用してバジアミン家に探りを入れることも考えましょう。 あぁ、あの巨人とまた話し合うのは気が進まないわ。」
ナナージュ様の顔が歪んだ。
「その上、ミーオ様はノア嬢に気に入られちゃいましたもんね!」
「…ニールサ? 私はアイアンクローをお見舞いする準備はいつでも出来ているわよ。」
ナナージュ様の目が光った。
こ、怖い…。
「まぁミーオが好かれたのはいい事だろう? 第一はミーオを気に入らなかった。 ミーオをあの『ノア嬢』のお気に入りとなるとミーオを潰そうとはしなくなるだろ?」
大佐長が言う。 確かに。 ナナージュ様は『ミーオ』という盾で守れると言う事だ。
「あ、ではオレ、そろそろ帰りますね! ナナージュ様、顔戻してください! 早く!」
「最近、ニールサ仕事終わったらさっさと帰ってるわよね…? まぁいいわ。」
オレはナナージュ様に顔を戻してもらい、さっさと家に帰った。
「ただ今度戻りましたよ!! ジュリエッタさん!」
「あら? おかえりなさい。 今日は早いんですね。」
ジュリエッタさんは玄関入ってすぐの2人共通の部屋で夕ご飯を作ってくれていた。
可愛い彼女が作る夕ご飯が食べられる…
なんて幸せなんだろう。
今まで大佐長の下で大変な事ばかりだったけど、今回のこれで報われた気がしている。