あの憎き人間 4
「…ようコソ。」
ナナージュ様がノア嬢に挨拶した。
ノア嬢はナナージュ様を見て目を丸くしたが、すぐに先ほどのような笑顔に戻る。
ナナージュ様の美青年ぶりに驚いたようだ。
「あら、こんな素敵なご主人ならお母様が夢中になっても仕方ないですわね。」
ノア嬢はふふっと笑う。
「ノア! 貴女からもここの店主にうちの専属になるように言ってやっておくれ!」
ダフネ夫人が叫ぶ。
「…お母様、帰りましょう。 これからお城でお茶会があるのを忘れたんですか?」
ノア嬢は第一騎士団に目で指示をし、ダフネ夫人を外までエスコートする。
「本日は申し訳ございませんでした。 また改めてお詫びを致します。」
そういうと早々とノア嬢は店から出て行った。
「…本日はもう閉店。 アル、看板出してきて… ハリー、浄化の結界を… えっ?」
ナナージュ様が話したその時、ハリー君が倒れたのだ。
「ナナージュ様、先に換気しましょう! これはオレもきついっす。」
オレは窓を全て開けた。
「そ、そうね。 私も、結構辛い。 …アルは大丈夫そう。 アル、ごめん、あとはお願い。」
「おい! お前たちどうした!!」
大佐長が叫ぶ。
オレは窓から体を出して外の空気を吸いながら大佐長にお願いした。
「大佐長、とりあえず2人を店の奥のベッドにお願いします。 そこも窓を開けてください。 オレはもうちょっとここで空気吸うんで。」
「…あ、あぁ。 わかった。」
オレは何度も深呼吸をして肺の中を整えた。 そして、自分へ回復魔法をかける。 主に口、喉、肺にだ。
そうしていくうちに体も落ち着いてきた。
そしてハンカチを取り出し、口を覆いながら奥のベットへ行く。
「おい、ニールサ、大丈夫か!?」
大佐長が声をかけてきた。
うん、ここの空気は清潔みたいだ。
オレは口のハンカチを取り、2人の口、喉、肺に回復魔法をかけた。
「…ふぅ。 ニールサ、ありがとう。」
ナナージュ様が目を開ける。
「…ありがとうございました。 すみません、師匠、もう少し休ませてください。」
ハリー君も目を覚ましたようだが、すぐに眠りについた。