あの口寄せは 10
本日はガシュ歴47年263日、第53回、大佐長会議が開かれる。
集まっているのは各騎士団の大佐長、そして、書紀のみである。
この会議は記録され、必要あれば開示となるが基本的には防衛などの点で非公開の会議となっている。
今日集まっているのは私、第二騎士団大佐長、ジャコモ・ラシュザ。
第三騎士団大佐長であり、我が弟、アルファド・ラシュザ。
そして第一騎士団大佐長、スナイダー・チュリヒ。
「スナイダー殿、今日はなぜお付きがいるのですか? 我らの会議は非公開ゆえ、他人が入ることは基本的には禁止させられていますが?」
私はスナイダーに話しかける。 スナイダーは隣にメガネをかけた男をはべらかしていた。
「『基本的には』ですよね? ジャコモ殿。 今回の会議には必要な人物ゆえ来ていただきました。 彼はリザルト帝国弁護士会、第三役員のムジュラ氏でございます。」
…こいつ、弁護士を呼んだのか。 弁護士会の3番目の地位のやつとは考えたな。
「本日の進行は俺…私、アルファド・ラシュザが務めさせていただきます。 本日の本題の第一議題は最近の魔物についてです。 最近、魔物の報告が増えています。 国境近くではあまり魔物情報が増えていませんが、最近では街中で見られることが増えてきているからです。」
それはそうだろ? 第一のやつが地下で魔物を作っているんだ。 そのまま放たれたら街の中の魔物目撃数は増える。
「…第二の見回りが甘いんじゃないですか?」
スナイダーが口を開く。
「何だって? 失礼ですね。 第二はしっかりと国境を見回っていますよ。 第一と違って手練れ揃えですから。 魔物もしっかり退治していますよ? 腕のない第一が国境近くで無くて本当によかったですね。」
「は!? 何だって! ジャコモ! お前っ!!」
スナイダーは立ち上がる。
「まぁまぁ2人とも落ち着いて。 スナイダー殿はご着席下さい。」
「ふんっ!」
スナイダーは座ったが、腕を組みながらこちらを睨みつけてくる。
本当こいつムカつくな。
「…この件は原因ははっきりしませんので続いて観察を。とのことで。」
「おい、アルファド。 お前たちも大魔術師を見つける命も守れてないだろ? その報告もしろ!!」
「……。 それは次の第二でやろうと思っていましたよ。 私たちの報告のみでお許しください。 私と第三騎士団2等、ニールサ・フェリーがナーハヤ大国へ向かい、調査を行いました。 しかし、あの魔物との大戦ではナーハヤの王とその親族が頭を取り戦った模様です。 それを間違えて大魔術師と祭り上げられた可能性も出てきました。 ハウルド王とも謁見できました。 大魔術師の代わりということで今、レタリブで働くミーオという、回復魔術師を連れていくとの許可を得たのでそう致しました。 どこかの騎士団に粉をかけられては困るんですよね。」
アルファドがスナイダーを睨んだ。
「ふん、知らなかったら仕方ないだろ! 最初から説明しておけ!」
スナイダーがふんぞりかえる。