あの口寄せは 9
「ししょー様…」
リリーちゃんが悲しそうな顔をする。
と、その時、
ドーン!
と、ドアが開き、アルファドが入っていた。 ナナージュを背負いながら。
ナナージュは足をばたつかせている。
「…意外とお戻りが早かったですね、師匠。」
「ハリー、だまらっしゃい。 まさか私もアルに捕まってこんな状態で戻ってくるなんて思ってなかったわ。 恥ずかしくてカッコ悪い気分よ。」
「えぇ、師匠。 せっかくのシリアス場面だったのに残念です。」
ナナージュはアルファドにより下へ降りた。
「アルもなんで私をそっこーで担ぐわけ??」
ナナージュはアルファドの腹部へ連続でパンチしながら話す。
「いや、何だか捕まえなきゃいけない気がして。 …えっ、ちょっとだんだん痛いんだけど。 辞めて。」
「いや、アルファドのお陰で面倒な展開は免れたっぽいから大丈夫だ!」
私はアルファドを褒めた。
「ナナ、お前のことは俺が守るから何も不安がることはない。 俺は騎士団の大佐長だぞ…って、もう、殴るのやめて。 痛いって!!」
「ナナージュ、アルファドとイチャついているところ悪いが、1週間後もう一度来てほしい。 ハウルド王とやりとりをする事になっているのでまたリリーちゃんにお願いをしたい。 先代の精霊王からの願いでな。」
「イチャついてなんて!! 怒るわよ! 分かったわ。 …精霊王の名を出されたら行かない訳にはいかないでしょ。 わかったわ。 あっ、そういえばこれ。 この間アルに聞かれたことをまとめておいたわ。 じゃ、リリー連れて帰るから!」
ナナージュ、ハリー君、リリーちゃんは早々と屋敷を出た。
「ジャコモ、明後日の大佐長会議は…。」
みんながいなくなってから、アルファドが聞いてきた。
「あぁ、これを見ろ。 バッチリだよ!」
私は勝利を確信した。