あの大魔術師とは 3
「アルファド大佐長!! ここでしたか!」
大図書館を出たところでニールサが駆け寄って来て、声をかけてきた。
「あぁ、ニールサ、どうだった?」
「はい! 大魔術師についての様々な情報をGETしてきました! 大佐長はいかがでしたか?」
「…まぁまぁだ。 答えをすり合わせたいし、今日の宿へと向かおう。」
ガヤガヤと騒がしいこの食堂、2階は宿泊可能であり、今日の宿としている。
「まずは、俺から報告させてもらおう。 歴史書を読んでわかったことは、1、ナーハヤ大国の民はみんな魔法が使える。 2、その中でも王族の魔法の力は強い。 3、元々ナーハヤ大国ができたのは魔族との戦いに挑む者たちが世界中から集まり、いつの時代も対決してきた。」
「さすが大佐長! 素晴らしい翻訳です。 その通り。 間違っていません。 …にしても、大佐長も不思議ですね。 そんな使い込んだ辞書を持っているなんて。」
「…これは貰い物だ。 そして、新聞記事を読んでわかったこと。 1、3年前、大規模な魔物と魔物討伐隊があった。 2、魔物討伐隊の中に後々に「大魔術師」と呼ばれる者がいた。 一つの隊を仕切っていた。 3、とても素晴らしい成果を収めた仮大魔術師がいつのまにか大魔術師としてみんなに認められた。 というところか。」
「オレが街で聞いてきた情報と同じっす。 それに色々追加させていただきますねー! 1、魔物討伐隊は5つからなり、それぞれの隊を仕切っていたのは魔法の力が強い…魔力ってこっちでは言うんですが…王族だった。 2、仮大魔術師は黒いロープを被っており、2つの黒の召喚物を使って隊を動かして、1つの隊で魔物の半分をぶっ殺したらしいです。」
「は、半分だと… 魔物はそんな楽には倒せないだろう。それともこちらの魔物は弱い…のか?」
「いえいえ、逆ですよ。 このナーハヤ大国の魔物の方が断然、強いです。 それもあの時の魔物の数は森手前の広大な広場を埋め尽くす数、2万いたと言われています。 その半分を倒すなんて、大魔術師の隊のほうがよっぽど化け物っす。」
「だ、だよな…。」
「あ、でも、化け物と言ったけど、大魔術師と会ったことのある人からは全然違う話を聞けました。 リザルト帝国での噂と同じで、『だらだらしていたな』とか『美人で銀の髪がサラサラしていた』とか『可愛い豚のキーホルダーを腰にぶら下げてた』や『ぼーっとし過ぎで腕を逆につけられた』と言う者もおりました。 ちなみ後で元に戻してもらえたみたいです。」
「…ただの変人ではないのか?」
「あ、そういえばナーハヤ大国の端っこの村、カヒミンにいつもいると聞きましたよ。」
「それ! 一番大事な情報!!」
俺たちは翌日、カヒミンへいくことにした。
会ってみるのが一番早いからな。