あの口寄せは 4
「…どういう事なんだ! なぜナナが死ぬんだ!」
アルファドは私につっかかってきた。
「今の彼女を見れば魔物を相手にして勝てると思うのか? お前の脳はスカスカか?」
「ナナが死なないよう、助けてやればいいだろう! 何なら俺が先陣きって戦えばいい。 ナナを傷つける必要はない。」
「戦争がない間にアルファド、お前も平和な脳みそになったものだな。 ナナージュの魔物の件は私に任せてもらう。 次期当主としての命令だ。」
アルファドの悪い癖だ。 ナナージュの事になると正確な判断ができない。
私はため息をつく。
「お前の仕事はニールサとジュリエッタ嬢を結婚させること。 そして大佐長会を開く準備だ。 ジュリエッタ嬢の結婚についてここで説明をする。 そして、その結婚について色々言われるだろうからこの紙に書いた件についてナナージュの回答を聞いてくれ。」
私はアルファドに紙を渡す。
アルファドは紙の内容を見ると成る程という顔をし、深く頷いた。
問題が一気に起こっているが一つずつ片付けていけばいい。
ラシュザ家のためにもここは踏ん張らなければならない。
翌日、ジュリエッタ嬢に会いに、彼女がダンサーをしている店に行った。
ちょうどいい「ついで」…ナナージュもいたので私の店に招待し、ガイオ殿の件を話した。
ナナージュからは手に入れたかった書類が手に入った。 昔通り頭のキレはいいらしい。
このナナージュからの書類は裁判で使う必要があるだろう。 一度ガイオ殿とも話し合う必要があるだろう。
「ちょっといいか?」
アルファドが私の書斎に来た。
「ジュリエッタ嬢は明日迎えに行こうと思う。 ファンス伯爵が銀行でお金を下ろしているという情報を得て、そして、1人の愛人だった女がボロボロの状態で道端に倒れていたので先ほど保護した。 保護医院で手当てをしているが… 生き続けてくれればいいが。」
アルファドが悲しい顔で報告をしてきた。
あのジジイ、予想より行動が早いな。
「ファンス伯爵の事も部下に調べさせる事にする。 後はジュリエッタ嬢のことだが…結婚は明日すぐが良さそうだな。 これを。」
私は予め用意しておいた2人の結婚許可証を渡す。 こんな紙切れはお金を積めばすぐにできるのだ。
「これは…もう、2人、結婚してる状態じゃないのか。」
「あぁ、あのジジイが動く前に結婚させといた。 ジュリエッタ嬢にもガイオ殿がナーハヤに行ったことを伝えておいてくれ。 彼女も安心するだろう。」
「わかった。 何だかみんなお前の手の上で転がさせている感じだな。」
アルファドが嫌味を言っていた。
「みんな、幸せだろう?」
私は笑みを浮かべた。