あの口寄せは 2
「しかし、人間が魔物になっていました!!」
私はエド様に反論した。
『落ち着け。 人間を一時的に精霊化するならば可能だ。 精霊の中には核というものがある。 人間でいう、心臓の辺りに存在する。 緑の宝石のようなものでな。 心臓とは別のものだが、精霊にとっては大切なもの…それが「核」だ。 それを口にすると一時的に精霊になれる。 昔、人間と協力して魔物と戦った時に人間に貸したことがある。 そうすると人間も精霊のように高難度の魔法が使えるようになるからな。』
「エド様、今、精霊はこの大陸にはそんなに生き残っておりません。 一体どこからその精霊を捕らえてきたのでしょうか。」
『詳しくはわからんが、昔、海を越えていった仲間もいた。 そやつらが今になって姿を現したのかもしれん。 …我らは残念ながら魔物を全滅することができなかった。 だからあいつに精霊の祝福を授けた。 この少女の母親の感謝の意思と我らの懺悔を。 あいつには魔物を倒せる力を授けたのだ。』
「ナナージュに代わりに倒せと。」
『…女だったか。 仕方ない。 それが彼女の運命。 あのまま死んでしまうよりよっぽどよかったはずだ。』
ナナージュは何とも酷な運命を背負ってしまったんだろう。
確かに祝福を受けなれば魔物にやられて死んでいた。 しかし、生き残っても魔物と戦わなければいけない。 どちらにしても魔物と戦う運命からは逃げられないのである。
そしてあまりの胸の寂しさに精霊達に男と間違えられている。 ナナージュのことは嫌いだが流石に可哀想になった。
『…一度今のナーハヤの王と話がしたい。 取り繕ってくれ。 この借りた体は今、疲れておるから3日ほど寝続けるが命には問題ない。』
「…はい、エド様。」
そういうとリリーちゃんは再びベッドの上に倒れ込んだ。 そしてすぅすぅ寝息をたてる。
「誰かいるか!!」
私は使用人を呼ぶ。
「急いでアルファドを呼んでこい!」