あのイケメン魔術師が 14
これまた光輝く豪華な個室に案内され、席に座ると料理と果実酒が運ばれてくる。
口にすれば分かる。どれも高級なものである。 美味しいわ。
「さて、本題に入ろう。 ガイオ・オファー殿の話だ。」
「えっ、お父様の!? 居場所が分かるんですか? …そして、どうしてミーオさんが関係あるんですか?」
「…そろそろ猫被りは止めようか。 ナナージュ。」
ジャコモがこちらへ歩き、私の頭をポンと叩く。
「…ナナージュ…ナナージュって、あの、ナナージュ・マジュク様ですか!!」
ジュリエッタが大声を出して立ち上がる。 「…ジュリエッタさん、レディとしての振る舞いが出来てないわよ。」
私は魔法をかけていた喉仏、声などを解く。 そして一つに結んだ髪も解いた。
「お、お久しぶりです! ナナージュ様! 生きていたんですね… 私、小さい頃に遊んでもらった記憶があります! でも………うぅ……素敵な男性だと思ったのに。」
私はため息一つつく。
「色々騙していてごめんなさい。 私は死んではいないの。」
「そっちじゃないと思うけど…ジュリエッタちゃんには、ジャコモ・ラシュザ、私がいるから!」
「ジャコモ様は浮名を流し過ぎです。」
「そろそろ本題に入ってくれないかしら?」
私は果実酒を口にしながら催促する。
「あぁ… 実は私の部下に調べさせていたんだが、やはりガイオ殿は見事に騙されていたみたいだ。 今の第一騎士団大佐長の親族のものに。 …可哀想だが、お母様はタチの悪い、卑劣な人間に騙されたみたいだ。」
ジャコモの話を簡単にすると、ガイオ氏が第一の遠征訓練時にジュリエッタの母親は昔から知り合いの男に金の眠る山があると騙され購入。 どれだけ探しても金は見つからず、知り合いには逃げられた。見つける為の費用、土地代で借金が重なった時に母親が自害。 ガイオ氏が戻ってきたときにはもう遅かったのだ。 借金を返すために土地を売ったがそこに問題が。 城にある土地の価値が書いてある書類が書き換えられていた可能性が高いと。 しかし、証明する方法がない、とのことだった。
大体は酒屋で聞いた話と同じね。
ジュリエッタは涙が止まらない様子。