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あの日の証言
カジュ歴40年2日。
古い歴史としきたりがあり、海沿いにある国、リザルト帝国。
私は、騎士見習い1年目アルファド・ラシュザ。 17歳。
本日の私の勤務はこの国中の貴族、優秀なものが通う国唯一の学校の後輩たちの卒業式後のパーティーの警備である。
リザルト帝国ではこのパーティーを持って成人と認められる為、国を挙げて警備することが慣わしとなっていた。 それほど重要な行事であるのだ。
担当警備場所は会場から離れた離宮。
もちろん、平和なリザルト帝国には仕掛けてくる敵や暗殺者などいない。
夜も更けて、退屈がてらあくびをしながら空を見つめていたその時、
ボンッ!!
バリーーン!!!
爆発音に破裂音、大きな音が響く。 会場の方である。
そちらを見ると、
シルエットが月明かりに照らされて空を飛んでいった。
人にも見えなくもない。
いやいや、眠くて、幻覚を見てしまったのではないだろうか。
会場へ急ぎ、中に入ると後輩たちや騎士たちが騒いでいた。
私は1人の人物を探す。
いない。
人をかき分け探しても見つからない。
「…ナナ。」
私は幼馴染の名前をつぶやくのであった。