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『シャンパッパーティーナイト〜夏だぜ!〜』

角くん視点。

『森のあかり』あたりの頃。

 最初にその『シャンパッパーティーナイト』というボドゲを買ったのは、単に面白そうだと思ったからだった。ボドゲ会で出したときも、笑ってもらえたし、みんなで声を出して笑い合うのはなんだかんだ楽しかった。

 だから、ボドゲ部(仮)の活動のときにカホンバッグに入れたのも、特に深く考えていなかった。大須さんにどんなゲームか説明して「何それ」って笑ってもらえるかもな、くらいは思っていたかもしれない。

 なんにせよ、一緒に遊ぶためのボドゲは、他にも考えていたのだ。

 だから、大須さんと一緒にこのゲームを遊ぶことになったときには、俺もびっくりしたし、戸惑ってもいた。


 そんなことを思い出したのは、そのゲームの拡張──追加のカードを見かけて買ってしまったからだ。

 その名も『シャンパッパーティーナイト〜夏だぜ!〜』。夏らしいワード、海を思わせるワード、あるいは基本ゲームよりもさらにハイテンションなワードが盛りだくさんの、なんというか、もう激しいとしか言いようのないゲームになっている。

 サンプルを見て笑ってしまったので、なんだかもう買わないといけない気分で買ってしまったのだ。だって「サマー」「砂浜」「フォーエバー」とか、「ウェイ」「ウェイ」「ウェーイ!」とか、もう笑うしかないじゃないか。

 そして、その相変わらずギラギラとした箱のデザインを見て、大須さんと一緒に遊んだときのことを思い出す。

 ゲームの世界の中では、大須さんも俺もホスト姿になっていた。大須さんは白いスーツにグレーのシャツを着ていて、その少し開けた胸元からシルバーのペンダントが覗いていた。後ろで結ばれた髪の毛はなんだかキリッとしていて、なんだか妙にサマになっていた。

 大須さんは小柄ではあるけど、そのホスト姿をかっこよく着こなしていたと思う。

 それに、最初は声を出すことを恥ずかしがって嫌がっていたのに、最後には誰よりもリズムに乗って声を出していたのだ。なんなら少し楽しそうにもしていた。

 そして「姫」の隣に座らせられて、どうして良いかわからなくなっていた俺を、助けにきてくれた。あれは本当にかっこよかったと思う。

 それに、あのときのあの言葉だって、実はずっとずっと俺の中には残っている。

 本人に言うと恥ずかしがって顔をあげてくれなくなるから言わないけど。それに、大須さんには忘れてくれって言われたから、これは忘れたことになっている記憶だ。

 普段は忘れてるんだから、たまにこうやって思い出すくらいは許してほしい。


 大須さんは、いざというときの思い切りが良い。

 ゲームというものに慣れていないだけで、ルールの飲み込みも早いし楽しむこともできる。

 素直で、だけど大胆な選択もできる。

 体質のことだけじゃなくて、一緒に遊んでいて面白い。見ていて楽しいプレイをする。


 大須さんの体質でボドゲを遊べたら、とずっと思っていた。今だって思っている。それは確か。

 でも、もうそれだけじゃない。

 大須さんと遊ぶのも、大須さんが遊ぶのを見るのも、楽しみにしている。そんなふうに言ったら、大須さんはまた恥ずかしがるかもしれないから、言えないけど。


 次は何を遊ぼうか。さすがに『シャンパッパーティーナイト〜夏だぜ!〜』は遊んでもらえないだろうけど。

 そうやって、何を遊ぶのか選ぶ時間が、前よりもずっと、とても楽しいのだ。





『シャンパッパーティーナイト〜夏だぜ!〜』


・プレイ人数: 4人〜8人

・参考年齢: 8歳〜

・プレイ時間: 15〜30分




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