表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

団子

作者: 鈴朗

「その団子、いらないなら私に下さいな。」

夕暮れの山のとある宿屋で、串に刺さった団子を持ち、ボケーっと座っている老人に向かって私は言った。

「駄目じゃ駄目じゃ、この団子はやらん。」

老人は頑なに団子は譲らなかった。

「なぜだい?あんた昼間っからずっと団子を食わずに玄関に座っているだろ。食わないんだろ?」

「ええいうるさい!この団子は絶対にやらんぞ。」

「そうかい、悪かったね」

私はあきらめて自分の部屋に戻った。なんと変な老人なんだ。私はつくづくあきれた。

日が沈んだらこの宿を発つ予定であったため、仮眠を取り、日が沈むのを待つことにした。

しばらくして目を覚ました。いけない。すっかり寝てしまった。外は満月が闇夜を照らしていた。

私は急いで荷をまとめ、玄関に向かった。

戸を静かに開け宿を出ると、その先に、あの老人が座っていた。

案の定串にささった団子はそのままであった。

老人はその団子を月に向かってさしていた。

「あんた、とうとう気でも違ったか?」

そう言った瞬間、急に空が輝きだした。目も開けられない眩しさだった。

ようやく光に慣れてきて、目を開けると、容姿端麗な美しい美女が老人の元に降り立っていくのが見えた。

「お待たせしました。さあ、向かいましょう。」

「はい、月姫さま。」

そう言って老人と月姫という名の美女は月の方角へ消えていった。

輝いていた光も消えていき、闇夜が再び姿を現した。

ふと下を見ると、あの老人の団子が落ちていた。

興味本位で、私はその団子を手に取り、満月に向かってさしてみた。

そこには月まで届く、光り輝く綺麗な団子の道ができていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ