塩の天動説
架空の話の中に出てくる、架空の出来事です。
21世紀にもなって「減塩が重要で、全世界で一律1日5g以下を目標」とか、言ってるのバカじゃねーの?
という世界のお話しです。
でも、現実世界でも、体から出て行く汗1Lには、0.5~5gの塩が含まれている上に、塩分摂取量の多い国が長寿国だったりします。
でも、架空の話の中に出てくる、架空の出来事です。
本編は、このページの上端にある”シリーズ:加齢臭と転移する竜(関連話いろいろ)”から辿っていくと良いと思いますが400万文字越えの話なので、反響あれば、関連話のインデックスでも作ることにします。
架空の話の中に出てくる、架空の出来事です。
■塩の天動説
加齢臭と転移する竜の主人公、栫井仁が、
もともと、ただの人間だった頃に暮らした世界で起きた出来事の1つで、作品内で、何度も出てきます。
2020年時点では、過去に起きた出来事となっています。
減塩で昭和を思い浮かべていることから、平成の後期ではない、もっと前に起きていたできごとだったようです。
”塩の天動説”という言葉は、健康には減塩が重要という価値観や、全世界で一律1日5g以下と言うような、単に塩の量、或いは、塩換算のナトリウム量で規定するような、摂取量の基準の作り方を否定するようになる一連の出来事の中で使われた言葉です。
塩は必ず悪でなければならないという価値観を破壊する、”塩の天動説の撤廃”と呼ぶべき出来事がありましたが、その出来事自体を指して”塩の天動説”と呼ばれることが多いという言葉です。
”塩の天動説”というのは、主に2つの要素の複合で、
1.塩は悪と先に結論が決まっている。
減塩が正義と決まっていて、減塩が理由で起こるデメリットや、
増塩によって起こるメリットを報告しても黙殺される。
2.塩を塩単独、或いはナトリウム単独の重さ(量)で、管理制限している。
(天動説後は、水分との比率で管理するようになる)
天動説は、天が回っていると言う結論ありきで、地面が回っていると発言することは悪として扱われる。
先に結論ありきで、塩は悪と見なされる。
これが天動説に似ているという指摘から、この一連の論争は、塩の天動説と呼ばれています。
そして、摂取量の管理に”ナトリウムの量”に着目するという特徴があります。
ナトリウムの必要量に着目すると、体に必要な健康的な塩分の量は、かえって見えにくくなります。
体は、ナトリウムを、それほど多くは必要としていない。
なので、必要なナトリウム量を測ると、必要な塩の量は出てこない。
塩化ナトリウムには、体液の浸透圧を調整する機能があります。
ところが、この浸透圧は分子量で決まるものであり、浸透圧を作り出す物質がナトリウムである必要が無い。
一方で、浸透圧で最も支配的な物質が塩化ナトリウムなので、結果としてナトリウムが不足すると他の物質を大量消費してしまう。
人間の場合、ナトリウムが不足すると、汗に含まれるカルシウムの量が増えることが知られています。
ナトリウムの代用品としてカルシウムが使用されている可能性があるわけです。
それは、ナトリウムが無ければ別の物質で代用する機能が働いているためです。
他の動物も同じです。
野生動物で、ナトリウムを制限された中で生きている例があります。
日本は岩塩が少なく、国産塩としては、昔から海塩に頼っている国です。
(多くの国は、鉱物として産出する岩塩、或いは湖塩を使っています。
海水から塩を作る方が少数派です。特に燃料使って海水から塩を得るような国は、
世界でも、かなり例外的です)
元々海辺の生き物であったニホンジカを、森に追いやり、海に出るルートを塞いでしまいました。
その結果、ニホンジカは塩の供給源を失ってしまった。
元々ニホンジカは、人間のように、身体全体から塩を排出する生き物では無いので、人間と比べると塩を失いにくいのですが、それでも、塩無しで生活はできません。
ところが、ニホンジカは増えている。
塩化ナトリウムの代わりに、道路に撒かれる融雪剤、塩化カルシウムを利用している可能性があります。
実際に、融雪剤を舐めると言う行動は、頻繁に観察されています。
道路に出てくる鹿が多い理由の一つとして、融雪剤を舐めに来ると言うのも指摘されています。
塩化カルシウムにナトリウムは含まれていない。
ですが、浸透圧の調整には使われている可能性がある。
少なくとも吸収されれば、浸透圧に影響を与える物質です。
点滴で使う生理食塩水は0.9%の塩水ですが、浸透圧を体液に合わせた液体です。
浸透圧は他の物質でも作り出せる。だから、ナトリウムの量に着目しても結果がわかりにくい。
塩が無ければ別のもので代用されるため、代用される分を別にすると、そもそも、体は、ナトリウムを、それほど多くは必要としていないように見える。
ところが、塩は、体液の浸透圧を作り出す材料として最も支配的な物質である。
浸透圧という観点からは、そもそも点滴が塩水であり、その濃さの水と塩の比率を±0の基準とするのが正しい。
浸透圧で支配的な物質は、水と塩。その比率になります。
そのため、必要な塩の量は、出て行く水の量とセットで見る必要が有る。
出て行く水の量は長期的に見ると、摂取する水の量と一致するので、摂取する水の量とセットで管理すると簡単に管理しやすいです。
一番簡単なのは、汗で、1Lの汗には塩が0.5~5g程度含まれている。
なので、ナトリウムとして必要かどうか以前に、勝手に抜けていく。
不足した分は補給が必要になります。
これだけ考えても、軽い運動でも大量の汗をかく地域の人と、軽い運動ではほとんど汗をかかない地域の人に、一律で同じ基準を設定するのには無理がある。
汗をかかず、水の量も管理された病人で測定した数値と、健康な人が活動しているときに必要とされる健康的な塩の量は、まったく異なる。
なので、世界で一律5g以下と言うのは、定義の仕方として間違っている。
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よく、身体に必要なミネラルとして、ナトリウムと対で、カリウムが挙げられます。
実際、体内では対で扱われることも多いのですが、カリウムは細胞中に多く、体液中には少ないと言う特徴があるため、体液から作られる尿や汗などの、ミネラルを失う主な経路で、ナトリウムが優先的に排出されると言う傾向があります。
水とセットで排出されやすいのは、ナトリウムで、カリウムは水の量に比例して排出されにくい(水の量の影響を受けにくい)という特性がある。
イメージとしては、カリウムは健康で、ナトリウムは不健康な感じがするかもしれませんが、点滴で打つのが生理食塩水。濃さを調整した塩水。
塩化カリウムは死刑で使う毒です。
塩の天動説と呼ばれる一連の流れの中で、”塩の増減に対する評価の対称性”が求められるようになりました。
これは、塩は体に良いと言って、多く摂らせようとする動きが加速するのを防止する意味も有ります。
「塩は体に良いから増やしなさい」だと、減塩信仰と同じで、増塩信仰になります。
大小の価値観が入れ替わるだけで意味が無い。
そして、もう1つが、塩を塩単独の重さで摂取量を定義するのを辞める。
塩の一番の効果を、浸透圧の調整と考え、浸透圧ベースの管理に切り替える。
簡単に言うと、水との比率で定義するように切り替える。
体液の半分の4.5g程度と表現されることが多いですが、厳密な適量は実は不明です。
(個人差もあり、だいたい4~6gあたりで、それが、だいたい体液の半分程度の濃さに相当するというだけで、体液の半分の濃さにしたいわけでは無い)
実際は、塩の摂取量で血圧が上がり、塩を減らすと血圧が低い状態が維持される人は、3~3.5g、それ以外の人は4gあたりが最も健康的。
※1Lあたり4gだと、一日2.5Lの水分摂取に対して、10gとなり、現在の先進国の水準に近い。
WHOは5g以下を推奨していますが、その2倍以上の国が平均寿命の長い国と言う矛盾があります。
減塩で血圧が下がるけど、減塩を続けると血圧が上がってくる人は、そのまま減塩を続けるとリスクが高いので注意が必要です。
※塩が無ければ糖でも使って血圧上げに行く……という動きをすると、糖尿病になる
太ると血圧上がりますが、血圧上げないと血流が保てないからです。
なので、太って上がった血圧を減塩で下げちゃダメです。
痩せて下げてください。痩せても血圧高い人は、薬でも飲んで血圧下げる必要があるかもしれません。
日頃安定して、あまり汗をかかない生活をしている人は、追加で飲む水1Lに対し2g程度の塩分を摂るという管理でも良いです。
■水を飲むと脱水症状は加速する
脱水症状で水だけ飲むと、脱水症状が加速することが知られています。
尿を作っているのは腎臓ですが、腎臓の動きは、浸透圧が下がったら水分を排出します。
なので、水を飲むと浸透圧が下がるので水を排出しに行きます。
その際、浸透圧を作り出す物質も一緒に排出されるので、ますます、浸透圧が下がる。
(水だけを捨てることはできないため。必要な成分は再回収されますが、100%回収することはできないので、水を捨てるために、どうしても必要な成分も少量一緒に出て行ってしまう)
血液量が減ると、のどが渇きます。
水を飲むと、浸透圧が下がり、トイレが近くなるばかりでのどの渇きは癒えません。
実は、のどが渇いた時に必要なのは、塩水だったりします。
これは簡単に実験できます。
寝る前に2杯の水を飲んで寝ると、夜中にトイレに起きるとします。
飲んだ水は、朝になる前に尿として体から出て行ってしまったことになります。
そのとき、寝る前に飲むのを2杯の水から、1杯の味噌汁と1杯の水に変えると、トイレに起きなくなります。ただの水を飲むより、長時間体に留まったことになります。
血液がドロドロとか言いますが、どっちがドロドロだったのでしょうか。
■無差別減塩の弊害
減塩を進めていくと、弊害が見えてきます。
日本では、実際は昭和の頃から弊害は出ていますが、寿命で見ると、減塩のメリットの方が見えやすかったため見逃されてきただけです。
まず、塩の摂取量以前に寿命の延びがあります。
これを減塩の効果と分離して測定することが難しい。
ところが、21世紀に入ると、減塩の効果が得られない県が出ています。
他の要因もあるので、寿命自体は延び続けていても、減塩による寿命の延びが県によって差が出てきます。
2020年にもなると、かなり明確に見えています。
塩分摂取量が多い県が最長寿になったり、大差無い県が最下位になったりしています。
============== 本編からの一部抜粋 =================
戦後減塩信仰が出て、塩分摂取量は年々下がっていた。
貧乏だった時代に、寿命を決める要素が何かというのは調査が難しかったはずだ。
長寿で東京1位、以下大都市の寿命がやたら長かったのは塩の量とは関係が無い。
それでも、盲目的に塩の量は減らされてきた。
減塩の悪影響は、社会が安定して、ある程度まともな平均寿命が出せるようになったころには出始めている。昭和の頃には、十分データに現れるレベルで出ているのだ。
昭和末期には、秋田、岩手の方が大阪より長寿だったのだ。
(文中の寿命と、塩分摂取量は男性のもの(女性は都道府県ごとの差が少ない))
都道府県の寿命ランキングを時代と共に追っていくと、どんな変化が起きたかが良くわかる。
日本全体で減塩が進むと、雪かきの負荷が大きい県ほど早いタイミングで寿命ランキング下落が始まる。そして、昭和末期には西日本の方が寿命が短い。
塩以外の要因での寿命の延びが大きいので、単純に塩と寿命だけ見ても、効果はわかりにくい。
ところが、都道府県間での相対的な位置としては、動きが見えやすくなる。
簡単に言えば、寿命ランキングが上がっていって落ちていくという山となって適量が現れる。
或いは、雪国が長寿を維持する場合、逆に他の県よりも塩分摂取量が多いように見えるようになる。
長野や福井が、寿命が長く、塩が多く見えるパターンだ。減らすと落ちていく。
(雪かき負荷が重要なので、積雪量が同じでも、都市化や自動化が進むと最適な塩分量は減っていく)
大阪が急降下しているのは、戦後は都市部の寿命が圧倒的に長かったものが、人の流入で悪化したため。1985~2000くらいまでは、大阪より岩手の方が(少なくとも数字上は)平均寿命が長かった。
1985時点で最上位と最下位の沖縄と大阪は2015年にはクロス寸前まで来ている。
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2015年 都道府県別寿命ランキング(男)
(寿命)1位 滋賀 81.78歳 11.4g
(寿命)2位 長野 81.75歳 12.5g
(寿命)3位 京都 81.50歳 11.5g
(寿命)4位 奈良 81.36歳 12.1g
(寿命)5位 神奈川 81.32歳 12.1g
2015年 都道府県別寿命ランキング(男)
塩分摂取量の少ない順5府県
(寿命)36位 沖縄 80.27歳 9.5g
(寿命)26位 佐賀 80.65歳 10.9g
(寿命)20位 香川 80.85歳 11.0g
(寿命)38位 大阪 80.23歳 11.1g
(寿命)9位 大分 81.08歳 11.1g
※普通に考えて、この結果を見て、減塩で寿命が長くなると考えるのはおかしいですよね!
寿命で上位の県は、塩分摂取量が少ない県と重なりません。
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そして、なぜ長野や福井は、塩分多くて長生きなのだろう? きっと、塩以外の部分が健康的だから……と何故か塩を避けて考えると答えは見えてこない。単純に、適量だから寿命が長い。それだけだ。
塩分摂取量と寿命ランキングには逆転が現れている。寿命上位の県は、塩分摂取量が少ない県ではない。さらに減塩を進めていくと、雪無し県が上位に来る可能性が高そうだ。
そうなると、一見、塩分摂取量が少ない方が寿命が延びるように見えるようになるが、同時に、積雪県の寿命が短く見えるはずだ(塩分摂取量が減ると現在上位の滋賀や長野の順位が下がる)。
そして、同程度の積雪量の県を比較すると、塩分摂取量が多い方が寿命が長い傾向が見えやすくなる(現在既に、近い積雪量同士の県を比較すると、塩分摂取量が多い方が長寿という傾向が見えます。岩手と長野が積雪量が近くて寿命は最上位と最下位。もちろん、塩が多い方が寿命の上位です)。
減塩を進めると、現在既に適量に居る県が、現在の上位の県で、雪無し県は、今後適量に入る。つまり、全国一律では無いし、適量が5g以下である可能性も低いということが見えてくる。
汗で出ていく塩の量を無視すると、健康的な塩の量は出てこない。
逆に言えば、日本全国一律での塩分摂取量と寿命との関係を崩してしまうほどに、雪かきの負荷は大きい。
そして、それは同時に、汗で出ていく塩の量を考慮せずに、一律何g以下と定義するのはバカげているということになる。
だから、寿命を延ばすことが目的であれば、雪かきする人は失う塩を補給するために増塩、そうでない人は、雪かきする人に合わせる必要は無いということになる。
まあ、出て行った塩の量は直接はわからないが、汗の量は、雪かき前後の体重の変動である程度知ることができる。どれだけ汗をかく作業であるかを知ることくらいはできる。
そして、積雪の無い県であっても、塩分摂取量をある程度まで減らすと、急激に寿命ランキングで下落していく可能性がある。
1980年頃は、平均寿命1位だった沖縄が2000年には下から数えた方が早いところまで下落している。
減塩しているのに食文化が変わったから寿命ランキング急降下しているわけでは無く、減らしすぎたから急降下した可能性もある。
寿命上位の雪無し県で11.5~12gくらいだ。雪かきしない県でも、寿命ランキング上位は、そんなところにあるのだから、9.5gまで減らした沖縄が急降下する理由が減塩しすぎである可能性を疑わないというのもおかしな話だ。
人の死因は高血圧だけではない。減塩は、高血圧で死ぬ人を減らす効果はある。
塩を5g以下減らせば、高血圧性の病気で亡くなる人は激減するだろう。
でも、健康とはあまり関係が無い。
平均寿命が下がるなら、高血圧で死ぬはずの人を、それより若いうちに別の病気で殺すことで死因を高血圧以外に転嫁しているだけだ。つまり、減塩は、高血圧の代わりに別の病気を誘発する。
※高血圧回避で罹りやすい病気は、感染症による死亡リスクの高い病気でもあります
→ 結果として、感染症によって社会が受けるダメージが大きくなる
=============== 本編からの抜粋終わり ================
また、無暗な減塩は、不健康な状態なので、当然、感染症等に弱くなり、感染症が流行ると、減塩食を食べている人たちが集団感染して重症化、死亡するリスクが高くなります。
同様に、減塩を進めている先進国の方が、感染症が流行した際の死亡率も高くなる傾向があります。
※ワクチンの接種がある程度進むまでの間の話です。
基礎疾患を持った人の死亡率が高くなりますが、その原因の一つに、
基礎疾患対策で行っている減塩が重症化リスクを上げている
可能性があるという言い方もできます。
医療が進んでいるはずの国で、感染症で亡くなる方が多くなると言う現象が発生します。
結局のところ、高血圧で死ぬ人が多いから、減塩しましょうというのは、高血圧以外の方法で殺しましょうと言ってるのと同じことなので、死因が他の病気に変化するだけで健康になっているわけではないのです。
感染症に弱い人を増やすと、流行時に医療崩壊が起きるので、医療崩壊を起こさない方向にシフトした方が、社会全体のダメージが少なくて済みます。
酒を飲むと塩分摂取量が増えやすいことが知られていますが、その割に、酒を飲んだ後のラーメンは美味しい。
塩分の量単体で見ると、塩分過多に見えるけれど、実はそれよりも水分量の方が圧倒的に多いため、結果として塩が不足しています。
なので、塩を補給すると言う行為は、理に適っている。
ただし、カロリー過多にはなりやすいかもしれませんね。
肥満は、血圧を上げますので、カロリーは少なく、塩分補給できる食品が、飲んだ後の締めとして気軽に食べられるようになると良いかもしれません。
それにしても、こっちの世界では、まだ、塩の天動説起きて無いんですね。
なんででしょうね?
という、架空の世界の架空の話です。
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2020年の寿命ランキングが出ました。
1985年には最上位、最下位だった、沖縄と大阪が逆転しました。
塩分摂取量の調査結果が出ていませんが、おそらく、塩分摂取量の少ない沖縄県の平均寿命が短く、塩分摂取量の多い県の方が平均寿命が長いという結果になるかと思います。