表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

第0話 勇者、旅立てない

なんかこう、おやつ感覚で気軽に読める物語になればなと思います。



「コロン、起きなさいコロン」


「…」


「今日はあなたの16歳の誕生日よ」


「……」


「領主様の所に顔を出す約束の日でしょ?」


「………」


「あなたは勇者に選ばれたの。16歳を迎えたら魔王討伐の旅に出る約束でしょ?」


「…無理」


「もう、コロンったら。ちゃんと起きてるじゃない。さ、顔洗ってらっしゃい。あなた女の子なんだから、寝癖も直さないと可愛い顔が台無しよ」


「だから無理だってば!旅なんて出れないよ!」


「我儘言わないの。ほら!起きなさい!」


「町の西口抜けたら魔王城徒歩10分じゃん!旅じゃないじゃん!」




 私の名前はコロン。16歳の可憐な女の子である。彼氏はいない。

 何でこんな事になってるかって?そんなの私が一番知りたいし、何度もこの町から逃げようと試みた。しかしその試みが成功した事は一度も無い。

 その理由は…まぁ、そのうち分かるだろう。


 そして何故私が勇者なのか、なんか私のおし…体の一部に勇者の紋章があるとか何かで、その、私が勇者という事らしい。

 戦える歳になったら勇者として旅に出る約束をして幼少期を過ごした。


 と、まぁ、ね。ここまでは良いよ。

 私だって幼いながらに使命感とか感じてましたよ。


 でもね!去年くらいからこの町の近くで突然の建築工事が始まったんだよ、町一つ分はありそうな巨大なお城の建築が。

 どこぞの国の王様でも来たのかと騒ぎになって見に行った大人達はそりゃもう腰抜かして驚いたらしいよ。

 この辺じゃ絶対に居ないはずの強い魔物がたくさんいたって話だから当たり前だと思うけどね。何故か襲われはしなかったんだって。


 で、下手に手出しも出来ず、向こうも襲って来ずな状況を見守ってたら出来上がったのはなんと無骨でおどろおどろしい魔王城だったって訳ですよ!

 何で魔王城だと分かったかって?まぁ…それもそのうち分かるよ。


 そんなこんなで私も約束の日を向かえてしまって、領主様に出発の挨拶をしなくちゃ行けない運命の時が来ちゃったって話です、はい。



 ……



「勇者コロン、よくぞ来た」


 …は!回想してたら領主様の御屋敷に着いてた!っていうか領主様目の前に居る!くたびれ顔のナイスミドルな領主様が既に目の前に!

 ど、どうしよう…今からでも逃げようかな…。


「いや、それは困るぞ。っていうか心の声出てるぞ」


「はうあ!つい!でも…私じゃ無理ですよ!」


「…悔しいが、魔物は人間よりも強い。それを憂いた女神様が聖なる加護を与えた存在、それこそが勇者であり、魔物や魔王に対して…」


「その話は何度も聞きました。でも私のレベル1ですよ?」


「その…何とかレベル上げをしつつ魔王城を目指して…」


「魔王城は町を抜けてから徒歩10分!今ここから出発しても30分かかりません!道中私が勝てるモンスターもいません!」


「えっと…この町で作れる最強の剣を授けるから何とか」


「この町で作れる剣てクズ鉄の剣じゃないですか!既に持ってますよ!製鉄技術も鍛冶技術も低くて不純物たっぷりのすぐ曲がるやつ!」


「……」


「あ!目を逸らしましたね!?」


「つ、強い仲間を見つけて…それで…その…」


「この町冒険者ギルド無いじゃないですかー!」


「よ、弱い魔物しか居ない平和な土地だったからな、仕方無いだろ?」


「あー!開き直りましたね!?」


「魔王城を無視して一旦レベル上げの旅に出る…とか」


「私が何度この町から逃げ出そうと試みたか…はぁ、でも、そうですね。それ以外の方法が思い付きません。やれるだけやってみますよ」


「ああ、感謝する」




 さぁさぁ、ああは言ったもののどうやって町から逃げましょうかね。

 領主様の屋敷を出た私は考えます。元々よろしく無い頭脳をフル回転させてみますが全く糸口がみえません。

 え?魔王城は西口側なんだから東口側行けって?はっはっは、何度も試したわい。

 納得してもらえないのならやってみた方が早いですかね。もしかしたら奇跡的に脱出出来るかもですし、さぁ、いざ東口へ!




「あ、お嬢じゃねぇですかい。お出かけですかい?」


 ほら来たよ。っていうかいつも何かしら居るよ。

 町を抜けた先に居たのは人間の倍はありそうな背丈の筋骨隆々なマッチョメン。男気溢れる顔立ち、そしてその頭部から生えた逞しい角。

 そう、人型上級モンスターのオーガだよ!当然勝てる訳が無い!


「そうなの、お出かけしたいから通して欲しいな、ね?お願い」


「すまねぇなお嬢、お嬢は町から出すなって魔王様から指示されててなぁ、こればっかりはお嬢の頼みでもどうにも出来ねぇ」


「うん…知ってた。他の魔物にもそう言われたよ」


「はっはっは、お嬢は理解力あって助かるよ」


「はは…は…」



 これだよちくしょう!!

 この町周辺のモンスターとのエンカウント率の高さ!

 しかもことごとく上級モンスターばかり。まぁ、それは置いておいて何故か皆私に攻撃してこない。むしろフレンドリー。私勇者ですけど!?敵ですけど!?


 この町周辺のモンスターについて分かった事は3つ。


 1、私を町から出してくれない。


 2、私に危害を加えない。


 3、町に危害を加えない。


 ……なんなの!?いや、本当に何がしたいの!?



次から魔王パートに入りますよー。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 魔王様おちゃめだなぁ() すっごい気楽なお話が始まりそうな予感がしまする()
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ