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日常に潜む怪異。俺はこいつらとは違うという思い込みの元に行動する生き物の生活を追え

初投稿です。よろしくお願いします。


  俺の名前はユウタロウ。21歳。指定校推薦で適当に選んだ大学で適当に大学生活を謳歌している。人付き合いなんかは特にないし、サークルとかどこも馬鹿馬鹿しいとしか思えない俺は、当然大学内に友達などいるはずが無かった。成績はギリギリだが、4年間通えば卒業できるだろうと思っている。スマホ弄ってるだけで単位が貰える。人生の休憩所とはよく言ったものだ。大学生なので、9時に起床。両親は既に仕事へ向かっていた。

 

起床早々やる事は決まっていた。スマホを片手に、トゥイッターを開く。そこで「ぽきたなうw」と打ち込み投稿。朝食、洗顔よりもこれを優先する。


トゥイッターとは若者ならば知らないものはいないであろう今の気持ちをきままに文章で打ち込み、投稿したり同じトゥイッターを扱っている人同士でそれを共有したりが出来るSNSである。リアルの環境だと語れない様な事も、不思議とトゥイッターの中だとスラスラと文字が浮かび上がってくる。俺は俗に言う「トゥイッタラー」だった。

 

ピコン!「ゆうまる君おはよ〜!(^^)/」通知欄がなると一目散にスマホを取り出す。俺のフォロワー『ゆきりん』からの返信である。ちなみに『ゆうまる』とは俺のトゥイッター上での登録名だ。中々可愛いだろ?

 

さてこのゆきりんへの返事、こいつは恐らく女だからあまりくどい感じで返事を送ると「私の事好きなの?」とか思われるかもしれない。女は所詮そんな生き物だ。くだらねぇ。こいつと俺は共通のフォロワーが多いから、周りに俺が女に飢えているような奴だと思われるのもごめんだしな。まあ、俺によく返信してくるから、こいつは俺の事が気になっている事は分かるんだがな笑。ひとまず、「おう」と返事しといてやるか。

 

結局大学に行く時間になるまでの間ずっと、トゥイッターとソシャゲに齧り付いていた。

 

大学に着いてからもあまりやる事は変わらない。一目散に席の後ろの方を占領する。講義が始まろうとも俺のやる事は変わらない。ソシャゲで何かが起きる→トゥイッターで報告→ソシャゲに戻る→またトゥイッターの繰り返しだ。そしてソシャゲに飽きるとトゥイッターのみに絞り、ひたすら中身の無い事を呟き続ける。タイムラインは俺で染まっていた。

 

俺のフォロワーの数は132人いるが、そのうちの半分くらいは《パズルでボカン》というソシャゲにハマっていた。俺もその1人であり、先程トゥイッターと行き来しているソシャゲの正体はこれだ。俺達は主に“パズボカ”によって集められた感じだ。よってパズボカの公式アカウントが新情報を呟こうものならば、俺のタイムラインは一気に活気が現れる。


「パズボカ新情報呟いてるぞ!」

 

「やっとか、最近虚無ボカだったからな」


「今回はコラボだってよ!」

 

パズボカの公式アカウントが、大人気アイドルゲーム《アイドルコネクターシリーズ》とのコラボレーションを発表した。アイドルコネクター、通称“ドルコネ”もまた俺のタイムラインではファンが多い。恐らく俺のタイムライン上では最も話題性のあるパズボカとドルコネのコラボ。いつもにも増してタイムラインは盛り上がった。

 

「俺の推しは!?」


「凛月ちゃんえっちだ…w」

 

…うるせえよ。萌えコンテンツにブヒブヒと…。えっちだだのなんだのお前らは恥ずかしく無いのか?馬鹿馬鹿しい。よほどテンションがあがっているのかは知らないが、これだから陰キャと言う奴は…w。俺はこいつらとは違う。


トゥイートボタンをタップするユウタロウ。彼は「またくだらない萌え系とのコラボかよ」と呟く。萌えに屈していない事を証明するかのように続いて何度かドルコネを批判するような内容を呟いた。

 

ユウタロウはフォロワー達を見下していた。萌えコンテンツに素直に興奮する者を初め、「陰キャ」を彷彿させるかのような自虐ネタ、トゥイッター上に存在するちょっとした人気のあるトゥイッタラーは特に、本気を出せば俺の方が面白いと見下していた。そしてあたかも一線を慨しているような、タイムライン上で少しズレている振る舞いをし続けた結果彼の心に生まれたのは、空虚な自信。俺はこいつらとは違うという心理状態であった。しかし、ユウタロウは矛盾を抱えている事には気付いていなかった。流行りを否定するも1番の流行であるパズボカは食い入るように楽しんでいるし、トゥイッターのプロフィール画像にはパズボカに登場する美少女キャラクター。彼の言葉に説得力は無かった。


そんな中、1人のフォロワーが呟く。タイムライン上でも特に活発的であり、ユウタロウの周辺にいるフォロワーからの人気も高い「ソーゴ」君の呟きである。


「お前そうやってやってもいないゲームを偏見で否定するのやめろよ」


普段怒りを顕にするようなことは少ないソーゴの呟き、彼とはパズボカを通じて知り合っておりよってパズボカ関係でユウタロウとソーゴ双方と関わりを持っているトゥイッタラーも132人の中の少なくとも3割程度は存在した。


ソーゴの不穏な呟き。それは間違いなくユウタロウに向けての発言であった。先程までユウタロウはパズボカとのコラボ先であるドルコネに対する否定的な呟きを10件程、更に否定はドルコネのみに留まらず、アニメや美少女ゲーム等と言った要するにオタクの文化と言うやつ全てに牙を向き、最終的には「美少女とか興味ねえわ」とパズボカの美少女のプロフィール画像で呟いてしまった。美少女キャラに興味を示さない姿勢は結構なものだが、プロフィール画像のお陰で説得力が壊滅してしまっている。そう、ユウタロウの否定に中身は無い。あるのは心の内に秘められた「俺はこいつらとは違う」による理念から生み出された萌えコンテンツへの攻撃である。哀れなり。


「なんだこいつ…?くだらない内容のトゥイートにたまたま阿呆なフォロワーが集まっただけの癖調子に乗りやがって…」


ユウタロウはソーゴの事もまた見下していた。パズボカの世界ではそこそこの知名度を誇るソーゴであるが、奴はその中でしかイキる事の出来ないくだらない奴だと。そんな下に見ているソーゴからの攻撃に、苛立たない筈がなかった。


頭に血が登ったユウタロウ、もはや講義など耳に入るはずもなかった。血管の浮き出た右手はスマートフォンを強く握りしめていた。

閲覧ありがとうございました。

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