7話 魔物の倒し方
「アイテム、攻撃、と来たら次は防御だね。」
「防御ってお風呂で使ってた、あのシールド魔法ですよね?あんなのどうやって使うんですか?水とかは、なんとなくで出来たけど、シールドはよく分かりません。」
「簡単だよ、透明な服を着てると思えばいい、薄くて、丈夫で、汚れない、雨を弾き、燃やしても燃えない、切っても切れない、刺しても刺さらない、引っ張っても破れない、夏涼しく、冬は暖かい、そんな服をイメージしてシールドを着る感じでやってみて。」
「シールドを…着る!?」
そして思う、それなら別に透明じゃなくてもいいよね?
(かわいい感じの長袖ワンピースにフード付ければ魔法使いっぽく見えるんじゃないかな?)
「へんしーん!」
服に見せかけたシールド魔法を着ます。
うん、なかなかかわいく出来たんじゃないでしょうか?魔女っぽくメインカラーは黒にしてみました。
「どうですか?」
くるっと華麗にターンを決めて、お兄ちゃんに披露します。
「なんか、コンセプトが変わってるけど…かわいいと思うよ。顔は無防備だけど…。」
お兄ちゃんにかわいいと言わせたので、私の勝利は揺るぎない物になりました。
バシャッ
スカートを掠めるように水が当たりました、お兄ちゃんが魔法を使ったみたいです。
「俺の魔法が弾かれた!?」
「水を弾くようにと言ったのはお兄ちゃんですよ?」
「いや、岩を切り裂く水魔法を弾かれるとは思ってなかった…。」
つまり、[お兄ちゃんの攻撃<私のワンピース]って事ですね!ちょっと嬉しいです。
私のワンピース凄い!
「ん?」
お兄ちゃんが明後日の方向を見つめています、何かあったのでしょうか。
「「ウゴォォォ!」」
「「!!」」
暫くすると明後日の方向から、何か雄叫びのような声が聞こえました。
ドスドス
そして2頭のオークが現れました、私の倍くらいの身長があります、私はちっちゃくないよ!オークが大きいだけです!。
「おあつらえ向きに弱い魔物が現れるのはテンプレだな、アリス、あの案山子を倒して見ろよ。」
オークが弱いかは分かりませんが、少なくとも案山子ではないと思います…。
オークが私に襲いかかってきます、私は咄嗟に水の魔法を飛ばします、しかし当たりません。
私はオークに殴られます、腕を出して頭だけは守ります、…しかしいつまで経っても衝撃が来ません。
私は腕を少しずらして片目を開いて覗いてみます、恐ろしい顔をしたオークが私の事をぽかぽかと殴っています、しかし衝撃はありません…。
私はオークの頭の上に石を落とします、練習に使った拳大の石です。
『ゴン!』っと、いい音がしてオークが倒れます、倒れたオークの首を水魔法で切断します。
「こっちも頼むわ」
見ると足を凍らされ案山子になっているオークがいます、案山子の首も切断します。
「怪我はない?」
「大丈夫です!」
恐い顔でぽかぽか殴られましたがそれだけでした、オークは大きいだけで弱かったです。
オークの討伐証明部位は魔石です、と言うか全ての魔物の討伐証明は魔石になってます。
魔物意外の動物には魔石はないので、別の部位になりますが、今回は割愛します。
面倒で気持ち悪いのでオークはそのままアイテムボックスに入れようとしますが入りません。
「あれ?」
「気持ち悪い人形でも入れると思って入れてみ?」
スッ…
消えたオーク…もう1頭も同様に入れます。
「重要なのは小さい物を入れようとする事だから。」
「魔法って面白いですね。」
「うん、知ってる。」
だいぶ日も傾いて来たので街に戻る事にします。
その前に大岩を回収して…っと。
そして、お兄ちゃんとお手てを繋いで帰ります、てくてく。カラスは一緒じゃありません。
宿に戻る前に冒険者ギルドに寄ってオークを処分します、持っていても邪魔ですし腐ってしまいます。
ギルドには昨日の受付のお姉さんがいたので対応してくれました、名札を見た所『キャシー』と書いてありました。
私が2頭のオークを出すと凄く驚いてました、周りにいた冒険者の皆さんを含めて。
「これはシェイドさんが狩ったんですよね?」
「2頭とも狩ったのはアリスですよ?」
そう言われ、私は渾身のドヤ顔を再び披露します。
「嘘は良くないですよ、魔石を見れば誰が狩ったか分かるんですから。」
そう言うとキャシーさんはナイフを取り出してオークの胸にブスり…そのまま魔石をほじくり出します…かなりアレですね……。
そして、なにやら魔石を水晶のような物で覗いてます。
「嘘…本当にアリスちゃんが…」
どうやら確認が取れたようです。
私はキャシーさんからオークの代金を受け取り、すぐにアイテムボックスに仕舞います。
これで誰にも取られません!
私はギルドを出ようとしましたが、キャシーさんに呼び止められました。
「アリスちゃんも、冒険者登録してみませんか?」
「冒険者?」