199話 武器の選び方
翌日
今日も校庭で冒険者の人達を招いて現地実習…もといキャンプの為の練習授業です。
「今日は皆が待ちに待った武器や魔法による戦闘訓練をする。」
「「「「えー」」」」
「皆も知っているだろうが、最近は一時期居なくなっていたオークやゴブリン等の魔物が戻って来ている、訓練と言っても気を抜く事のないように…」
一部の女の子達から不満の声が上がりながらも、冒険者さんの長い長い話が続きます。
それにしても、いつの間にか魔物が出るようになっていたんですね、これは安全な所で楽しいキャンプと言う訳にはいかないかも知れませんね。
「したがって、武器という物は…」
「先生!話はもういいので、そろそろ戦闘訓練を初めましょうよー、時間がなくなっちゃいます。」
「ん?そうか?
それなら、各自この箱から手に合う物を取って予め説明していた担当の先生の所へ向かってくれ。」
冒険者さんの長い長いお話がようやく終わり、皆は練習用の武器が入った木箱に群がります。
まぁ、私は武器は使わないので取りに行く必要はないですけどね。
「あぁそうだ、武器は山道を歩く時の杖代わりや、歩くのに邪魔な枝葉を払うのにも使うから全員1本づつ取るように。」
…どうやら、どうしても全員に武器を持たせたいようです。
でも、確かに山道を歩くのに杖はあった方がいいかも知れませんね。
私は徐に立ち上がり武器の入っている木箱に近づきます。
完全に出遅れてしまいましたね、私に合う物は残っているでしょうか?
私は最後に木箱の中を覗き込むと、その中にあった物は…。
………これは…バスターソード?
しかも結構大きめのやつ…。
しかも、1本だけ…。
なんで人数ぴったりしか武器が用意されていないんでしょう?
私がこんなのを背中に背負ったら剣先を引きずりながら歩く事になってしまいますね…。
まぁ、アイテムボックスに入れて持ち歩く事になるのでその心配はないのですが。
しかし、初心者にいきなりバスターソードは向かないと思います…。
あれ?このバスターソードに何かメモ紙が貼られてますね?
えーと、なになに。
『この剣を選んだ物は、俺と模擬戦を行います、心しておくように。』
…あぁ、なるほど…だからこの剣が最後まで残っていたんですね…。
そして、この『俺』っていうのは私の目の前、木箱を挟んで向かい側でニコニコしているこの冒険者のおじさんですよね…。