183話 不労所得の貰い方
「やっと終わりましたね。」
「ですわね。」
翌朝
宿を出て、早速ギルドに向かい、数時間に及ぶ長い手続きを経て、私達はようやく念願?の断続的不労所得を得られるようになりました。
まぁ、その為にはトンネルを通る人がいなければいけないんですけどね。
でも、その事に関しては皆さん心配はしていないみたいです。
お兄ちゃんもリッカちゃんも、そしてギルマスも何やら考えがあるみたいです。
でも、3人が考えている事は違うと思います。
何を考えているのかは分かりませんが、追々分かってくると思います。
ちなみに、ネネちゃんは朝から別行動で冒険者ギルドに行っています。
冒険者登録をして、ついでによさげな以来があれば受けてみると言っていました。
まぁ、あの人は無一文ですからね。ギルドの登録費用まで私に借りにきましたし…。
そして、そんな事を考えながらギルドを出ると…。
「やっと出てきたわね。」
目の前にいたのはネネちゃんです。
「別に待っていなくてもよかったんですのよ?」
「別に待っていた訳ではありません、たまたま通りかかっただけよ。」
そんな事を言っていますが、さっきは「やっと出てきた」って言いましたよね…。
「もうギルドの登録は終わったの?」
「はい!見てください。お兄さんのおかげで、いきなりCランクで登録して貰えたんですよ!」
そう言いながら私達に茶色に輝くカードを見せびらかしています。
…と言うか、お兄ちゃんのおかげって、いったいどういうことなんですかね?
これは後で追及する必要がありそうです。
そんな事とは露知らず、お兄ちゃんは「すごいねー」とか言いながらネネちゃんの頭をワシワシしています。ずるいです!
私もたまにはワシワシされたいです!
「それで、良さそうな依頼があったんで早速、依頼を受けてみたんですよ。」
「どんな依頼なんですの?」
「ふふーん、これです!」
「うーんと、なになに………。」
ネネちゃんの受けた依頼書には、なにやら難しい事がつらつらと長々しく書かれていましたが、要約すると荷物運びみたいです。
なんでも、ヒートの先にある街までの荷物を、土砂崩れの事は知っていても、トンネルが出来た事を知らない依頼主が特急料金を提示していて、私が見てもかなりお得な依頼でした。
「これなら途中で忘れ物も取りに行けるのもいいですね。
でも、少し心配です小さな女の子の一人旅なんて…。」
そして、この言葉で私の運命が決ってしまいました。