178話 地下での涼み方
「それであなたは誰でここはどこなんですの?」
みんなが落ち着いた所でリッカちゃんによる女の子への質問タイムが始まりました。
「えっと、私はネネって言います。よろしくお願いしますね。
そしてここはヒートの第3地下居住区です。」
この娘はネネちゃんですか…ウサギのぬいぐるみを壁際に押し付けて、ストレスを発散している人とは関係ない事を祈りましょう。
でないと、パジャマに着替えたリッカちゃんは尊い犠牲となってしまいますからね…。
「第3と言う事は、第1と第2もあるんですの?」
「いいえ、第1居住区は私が産まれる前に地震で崩れて使えなくなったようです、そしてこの間、第2居住区も隕石の衝突で穴が空いた所にこの間の大雨で冠水してしまい…。」
なんか、ずいぶんと災害の多い場所ですね…。
「なので、今はこの第3居住区に町の人のほぼ全員が暮らしています。」
「えっ、この暗い洞窟に村人全員が住んでいるんですの!?」
「いえ、確かに通路は暗いですけど大広間と小部屋は魔石がたくさん使われているので結構明るいんですよ?
信じられないと言うなら居住区を案内しましょうか?
あと、村じゃなくて町です!」
うん、リッカちゃんの『村』発言に対する的確なツッコミですね、よく訓練されています。
という事で、ネネちゃんのご厚意で洞窟の中を案内してもらう事になりました。
「まずここが大広間です、ちなみに私の家はこっちの一番手前の部屋になります。
入り口から一番近いせいで昼間のお客様にはここでは珍しい昼行性の私が対応する事になっているんです。」
最初に案内されたのは大広間です。大広間は地上と違ってひんやりとしていて、ちょっとした公園のようになっており、魔石によってそれなりに明るく、地下なのに川まで流れていました。
「昼行性が珍しいんですか?」
普通なら夜行性の人の方が少ないはずですよね?
でも、ここの人達は夜行性の人が多いと…。
つまり、そっち系の怪しい職業に就く人が多いのでしょうか?
うーん?
「なんか、失礼な事を考えてませんか?」
ネネちゃんが上目遣いで私の顔を覗き込んできました、ちょっと可愛い。
「いえ、ソンナコトナイデスヨ?」
「なんで片言なんですか!」
今度はほぺったを膨らませています、ちょっとぷにぷにしてもいいですかね?
しかし、私の考えが読まれたのか、ネネちゃんは説明を始めました。
「…今の時期は特に外が暑くなるので、ほとんどの人は涼しくなった夜に活動します。
だから寝ている人が多いので、あまり騒がしくしないでくださいね?」
確かに外はかなりの暑さでしたね。
このシールドワンピースを着ていてこの暑さなんですから、もしかしたら本当はとんでもない暑さだったのかも知れません。
それにしても、ネネちゃんは私達よりも小さいのに、ずいぶんと大人びた話し方をしますね?
まぁ、リッカちゃんみたいな人もいるので特に不思議はないですが、もしかしたらドワーフさんで大人になっても小さいままなのかも知れません。
…あれ?これもフラグですか?
しばらくは1000字の週1(くらい)ペースで…。