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175話 感傷の浸り方

みんなで朝食を食べて出発。

今日は歩いてトンネルの中をゆっくりと進みます。

なんでもトンネルの広さとか強度とかを調べながら歩くみたいです。

その証拠にお姉さんと御者さん達は、トンネルの壁を叩いたり、天井をつついたり、地面を蹴ったりしながら進んでいきます。


非常にゆっくりとしたペースで…。

このままではトンネルを抜ける頃には日が暮れてしまいます。


すると突然


「あっ、前方に数頭のゴブリンの気配がありますわ!

私達は先行してゴブリンの対処にあたりますわね!

さぁ、お兄様!行きますわよ!」


「えっ?え?」


そう言いながら、リッカちゃんがお兄ちゃんの手を取って走り出しました。


「えっ?ちょっと待ってください~」


私も慌てて2人の後を追います。

ここで置いていかれたら大変です!


そして、後にはポカンとした顔をした、お姉さんと御者さん達の姿が残されました。






そのまま数分走り残された3人の姿が完全に見えなくなった所で、ようやくリッカちゃんが立ち止まりました。


「どうにか上手く脱出できましたわね。」

「脱出?それじゃぁゴブリンは?」

「いえ、ちゃんといますわよ?ほら。」


リッカちゃんが指差す先には1頭のゴブリンがこちらを向いて立っていました。


「あっ、本当ですね。えいっ!」


私はレーザービームを発射しゴブリンを瞬殺します。


「あら、瞬殺とは酷いですわね。」

「えっ?でもゴブリンですよ?」

「いやいや、たとえゴブリンでも、もしかしたら悪いゴブリンじゃないかもしれないじゃん?。」

「そうですわよ、それをアリスさんってば出会い頭にいきなり瞬殺なんて…。」

「えぇ…。」


うーん、そう言われてみれば確かに酷かったかも知れませんね。

いくら醜いゴブリンとはいえ、命あるものですからね。その命をいきなり奪ったのは良くなかったかも知れません。

今度からは、多少なりとも襲ってくる様子があれば倒す事にしましょう。

不用意な殺生をする必要はないですよね?


っと、そんな事を考えていると…。


「アリスさん、何をしてるんですの?早くしないと置いていきますわよ?」


っと、遥か前方でリッカちゃんの声が…。


「えっ!ちょっと!置いていかないで下さいー!!」

私は慌てて2人の後を追いかけ走りだします。

それにしても、いつの間にあんな所まで進んだんでしょう?


ちょっと感傷に浸りすぎましたかね?




「何をぼさっとしていたんですの?」

「えっ?だってリッカちゃんが悪くないゴブリンが…なんて言うから…。」

「悪くないゴブリンなんているはずありませんわ」

「えっ?」


さっきと言っている事が違いますよ?


「そんなゴブリンがいるなら是非見てみたいですわね。」

「えーっ!!」

「さぁ、無駄話は後にして、さっさと先を急ぎますわよ。早くしないと次の町で遊ぶ時間がなくなってしまいますわ!」


ようやく本音が出ましたね。

なるほど、確かにトンネルの中より隣の町で遊んでいた方が面白そうですね。


「そうですね!それでは急ぎましょう!」


今度は私がお兄ちゃんの手を取って走り出します。


「えっ!ちょっと!置いてかないで下さいましー!」



次回は8/8以降です

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