174話 恩義の返し方
さて、道中はイロイロな事がありましたが、どうにか日が暮れる前にトンネルに到着で…って。
あれ?そのまま馬車でトンネルに突入ですか?
あっ、トンネルの中の方が雨風が凌げて安全だからトンネル内で夜営ですか。そうですか。
でも、トンネルの中だと狭くて私達のテントが広げられない…って。お兄ちゃんがトンネルを広げ始めてしまいました…。
でも、なんか少し広げすぎなような?
そして、その作業を眼を見開き口をあんぐりと開けながら見つめている固まった3人の姿もありました。
「よし、こんなもんでいいかな。
アリス、ここに家を出してくれ。」
「え?家を出すんですか?だからこんなに大きくスペースを開けてたんですね…。でもそれってまためんどくさい事になりませんか?」
「うん。でもお風呂にも入りたいしね。」
「あぁ、確かにお兄ちゃんと一緒に2日もお風呂に入らなのは耐えられませんね。」
「いや、別に一緒じゃなくてもいいよね?」
「お兄ちゃんは何を言ってるんですか?一緒じゃなきゃだめに決まっています!
でも、家を出すと、またお姉さんの質問攻めに合いますよ?」
お兄ちゃんは知らないかも知れませんが、そのせいで道中は大変だったんです。
「いい方法を思い付いたからそれは大丈夫!」
いい方法ですか…。
…なんだかとっても嫌な予感がします…。
「えっと、ちなみに何をするんですか?」
「ん?魔法でちょちょいとやるだけだよ?」
…魔法でちょちょいでなんとかなるなら、もっと早くやって欲しかったです…。
そんなこんなで私が家を出した後に、それを見ていたお姉さんにお兄ちゃんがちょちょいと魔法をかけていました。
どんな魔法を使ったのかは分かりませんが、お姉さんは家についてなんとも思っていないように見えます。
…御者さん達はものすごく驚いていましたが…。
というか、御者さん達には魔法をかけないんですね?
まぁ、いいんですけど。
そして、翌朝。
はい、翌朝です。
昨日の夜は、馬車の中で質問攻めにされていたリッカちゃんがちょっとうるさかったくらいで、いつも通りでした。
お姉さんと御者さん達は、あきらめたような顔をしながらも普通に客間に泊まりました。
お姉さんは今日も静かですね、お兄ちゃんはいったいどんな魔法を使ったんでしょうね?
勿論、聞くつもりはありませんが…。
そして、朝は珍しくウサギさんが寝坊していて、ペンギンさんに抱きついたまま眠っていました。
いつもこういう時は早く起きて皆さんの分の朝食を作るのですが、今回は御者さん達が朝食を作ってくれる事になったみたいです。
まぁ、家の食糧庫…という名の冷蔵庫の中の大量の食材と調味料の山を見て、火が着いた御者さん達に、一宿一飯の恩義が…とか言って朝食を作る権利を押し通されただけなんですけどね。
そして、私達は朝食のいい匂いに起こされて…。
いえ、それでもウサギさんは起きませんね…。
お鼻がヒクヒクと動いているのでウサギなくタヌキなのはまるわかりですけど…。
たぶんギリギリまでペンギンさんに抱き付いているつもりなんでしょうね…。
次回も未定
盆休みに書き貯めをしたい(希望