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151話 ツノの折り方

湖から出てきたそれは勿論、例のドラゴンさんです。


ドラゴンさんは、とても怒ってるいるようで、その体は、少し焦げていて無数の石が刺さっており、さらに尻尾が切断され少し短くなっていました。

どうやら、私達の…いえ、魔王の魔法の流れ弾がドラゴンさんに当たってしまっていたようです。

尻尾がなくなってるのも魔王のせいです!

決して私のシールド魔法のせいじゃありません!


『またお前か!』

「ひぃぃぃ!!」


『ズシン、ズシン』と近付いてくるドラゴンさん。

私の足元では魔王がどうにか抜け出そうと必死にもがいています。

魔王は、「離して、離して!」っと、言いながら私の足を殴ってきたので、私が反対の足で魔王の頭を蹴り飛ばすと魔王はおとなしくなりました。


観戦していた街の人は、現れたドラゴンを見て、蜘蛛の子を散らすように逃げて行きました。



『そいつを渡してもらおう』


近付いてきたドラゴンさんが指差す先にいるのは魔王です。

どうやら私ではなく魔王が狙いみたいです。よかった…。


「あっ、どうぞどうぞ。」

私が魔王から数歩離れると、ドラゴンさんはぐったりとした魔王のツノを掴み、そのまま持ち上げます。


すると、ドラゴンさんは口を大きく開き大きく息を吸い込み…。


「やっ、止めて…。」


魔王がガクガクと震えながらそう訴えます。

しかし、その訴えがドラゴンさんに届く事はなく、ドラゴンさんの口から燃えるブレスが吐き出されました。

俗に言うドラゴンブレスってやつですね。


「うわぁぁぁぁ!!」


叫びながら炎に焼かれる魔王


そして数秒…

ドラゴンさんが掴んでいた魔王のツノが「ボキッ」っと折れました、そのまま魔王は、ブレスと共に空高く吹き飛ばされ「キラーン」という効果音を残しながら、遥か彼方へ星のように消えていきました。



『1度ならず2度までも…まったく懲りない奴だ。』


ドラゴンさんは残ったツノを「ぽいっ」と捨てながらそんな事を言い出します。


2度…そう言えば昼のアレも魔王のせいになっているんでしたっけ…。

こうなると、ケーキ1個でここまでされる魔王が少しかわいそうになってきますね…。

ですが、まぁ、自業自得という事にしておきましょう。




『むむっ、よく見たらお前は昼の…。』

あっ…ドラゴンさん、今頃私に気付いたんですね…。

「ドラゴンさんこんばんは。」

『お前がいると言う事は…。』

そう言ってドラゴンさんはキョロキョロと辺りを見回しています。


「また会いましたわね。」

『おお、やはりそなたも居ったか、すまぬがまた…』

「えぇ、勿論お安いご用ですわ」


そう言ってリッカちゃんはドラゴンさんに治療魔法をかけています、尖った石がポロポロと落ち、焦げた部分がみるみる無くなっていきます。

何故か切断された尻尾まで生えてきましたが、ドラゴンさんの尻尾は切られてもトカゲみたいに、また生えてくる物なのでしょう。




そして、散々リッカちゃんにお礼を言った後、ドラゴンさんは再び湖の中へと帰っていきました。




「私達も帰りましょうか。」

「ですわね、ですがその前に…。」

「その前に?」

「私が懸けた分の金貨の回収をしませんと!」


あぁ…そういえばリッカちゃん。私に金貨100枚も懸けてましたね…。


「ふふふ、200倍を超えていたので楽しみですわね。」

リッカちゃんが、すごく悪い顔になってますね…。

まぁ、懸けた時は200倍だったかも知れませんが、1人で一気に金貨100枚なんて懸けたら、最終的に2倍くらいになっているんじゃないでしょうか…。

まぁ、それは私には関係ないので黙っておきましょう。

「という訳で、私はあのおじさんを探してから宿に戻りますわね。」


そう言ってリッカちゃんは行ってしまいました。

帰ってきた時に倍率が変わっていて、不機嫌になっていない事を祈ります。



「では、私達は先に帰りましょう…って、お兄ちゃん?そんな所で何してるんですか?」


「確かこの辺に……あぁ、あったあった。」

そう言って、お兄ちゃんが拾っていたのはドラゴンさんが「ぽいっ」ってした方の魔王のツノです。

いつの間にか、私が切断した方のツノも持っています。


「何かに使えると思ってね。」

確かに、魔王のツノなら武器とかになりそうな気がしますね、後は煎じて飲めば病気の薬とかにも?

「まぁ、何にもならなければ売ればいいからね。」


魔王のツノっていくらになるんでしょうか?

もしかしたらとんでもない値段になるかも知れませんね!

…まぁ、使い道のない只のゴミかも知れませんが…。


そんな事を考えながら、私はお兄ちゃんと一緒に宿に戻りました。


勿論、2人で手を繋いで。



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