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145話 岩の落とし方

おじさんと別れた私達は、今度は本気でドラゴンさんを呼び出す方法を考えています。


「やっぱり大声で呼ぶのがいいんでしょうか?」

「それでドラゴンが来るんですの?

いる場所は分かっているんですし、石とかをぶつけて怒らせれば来てくれる気がしますわ!」

「それよりも良い方法があるよ。」

「「どんな方法です」の?」


「アリスに紐をくくりつけて、湖に入れて餌にして誘き寄せるんだよ。」

「それは名案ですわね!」

「なんでですか!そんな事したら水の中で息ができないですよ!!」


「ん?息ができればいいの?」

「……えっ?」

なんか、嫌な予感が…。



「まぁ、それは冗談として…。」

あの…ぜんぜん冗談に聞こえませんでしたが…。






「では、とりあえず、大声で呼んでみましょう。」

その後。結局、良さそうな案は出ず、思い付いた事を順番に試す事となりました。

もちろん、私が餌になるのは最後の?手段です。しかも、あの言い方だと、本当に水の中で息をする方法がありそうですし…。


「おーい、ドラゴンさーん!」

私は湖に向かって大声で叫びますが、湖には何の変化もありません。

おかしいですね?もしかして寝ているのでしょうか?



「現れないようなので、次は私の番ですわね。」

そう言うリッカちゃんは、既に小石を手にしています。

「えい!」

リッカちゃんが投げた小石はきれいな放物線を描き、湖の真ん中にポチャリと落ちました。




「………何もおきませんね?」

「おかしいですわね?もしかして石が小さすぎて当たった事に気が付かなかったんでしょうか?」

そもそも当たった事が前提なんですね…。

「では、今度はもう少し大きな石でやってみますわね。」

そう言ってリッカちゃんは、カボチャ大の石を抱えています。

あの大きさなら、水の中とはいえ、当たった事に気が付かない事はないでしょう。


「そいや!」


リッカちゃんが両手で抱えるようにして投げた石は、今度も湖の真ん中にボチャンと落ちました。




「「………。」」


「………なにも起きませんね?」

「ですわね…。つまり、あのドラゴンは、この程度の石では当たった事にも気が付かないくらい、凄まじい防御力があるって事ですわね…。」


もし、リッカちゃんが言っている事が本当なら、きっと硬い鱗に覆われているドラゴンなのでしょう。

…まぁ、私は単純に石がドラゴンに当たってないだけだと思いますが…。



「しかし、あの石でもダメとなると、次はアレを落とすしかないですわね…。」


リッカちゃんが指差すアレの方を見ると、そこにあった物は、さっきまでお魚を捕るのに使っていた丘の上の岩でした。


「あれを投げるんですか!?」

「投げませんわよ!そもそも、あんな大きな岩を持ち上げられる訳ないでしょう?

ちゃんとアイテムボックスに入れてから、湖の真ん中に出しますわ」


それは、結局投げるのと同じでは…。


「では、さっそくやってみようと思いますわ。」

そう言ってリッカちゃんは、お魚を捕るのに使った囲いの上をバランスよく歩いて大岩を回収しました。


そして…『ザッブーン』っと大きな水飛沫を上げて大岩が湖の真ん中に落とされました。


そして、5秒程で『ズシーン!』という音を上げて、大岩が湖底に到達したようです。




すると…。

岩を落とした辺りの湖の底からブクブクと泡が立ち始めました。

探知魔法で確認すると先程の大きな物が浮かび上がって来ているのが分かりました。


『ごぉらー!誰だ、こんな大きな岩を湖に落とした奴は!!』


そして、ついにドラゴンさんが現れました!

大きさは…まぁ、思ったよりは小さいですが、青くキレイな体が所々赤く染まっていてカッコいいです!!


『いくら強固な鱗を持っていても、痛い物は痛いんだぞ!!見ろ、こんなに血が出てしまっているじゃないか!』


所々赤くなっているのはドラゴンさんの血だったんですね…。

それにしても、ドラゴンさんって喋るんですね!そっちの方がビックリです!


『岩を落としたのは、お前達だな!?これは俺に対する宣戦布告とみなし、この街ごとお前達を始末してくれる!!』


えぇ!!大変です!このままだと街が!?

私は元凶であるリッカちゃんの方を見て、責任を押し付けます。


すると、リッカちゃんは、とんでもない事を言い出しました。


「いいえ、岩を落としたのは私達ではありませんわ。」

『なんだと!?』

「だって、そうではありませんか。私達があなたの硬い鱗を傷付けるような大岩を持ち上げて湖に落とす事が出来る訳がないでしょう?」

『うっ…た、確かに…。』


ドラゴンさんが、リッカちゃんに言いくるめられそうになっていますね…。

自分でやったのに…。


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