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140話 注目のされ方

魔王の城?を一望できる山の頂上から、山道を降りる事1時間、ようやく今回の旅の目的地であるコルセにたどり着きました。


頂上から街までの道は、きちんと整備されていて反対側から山登りをしている人と、すれ違う事も多かったです。おそらく、街の人達がちょっとした運動をするための、ハイキングコースになっているのでしょう。


その為、地元の人以外が通る事は、めったにない事なんだと思われます。

それを裏付けるかのように、街へ入る為の門は馬車が通れない程小さく、見張りと思わしき人も居眠りをしているくらい安全な様子でした。


起こすのも悪いので、私達はそのまま通過し、特にめんどくさい事にはならずに、コルセの街に入る事ができました。


コルセの街に入って、街の大通りを歩いていて、まず目についた物は。人々の頭の上にある、ふっさふさのケモノ耳、そして頭に生えたツノです。

そう、このコルセは獣人と魔族の街だったのです、もちろん人間が居ない訳ではありませんが数が圧倒的に少ないです。


そして、人間が珍しいからなのか、私達は街の皆さんからかなり注目を集めています。

…というより私だけが注目されているような気もしますが、自意識過剰でしょうか?


「なんか、私だけ注目されてませんか?」

「あぁ、たぶんフードを被ってないからじゃない?」

「フードですか?」

お兄ちゃんと、リッカちゃんは、いつものように、頭にフードを被っていました。

まるで獣人さんや魔族さんが人里に来る時に耳やツノを隠している時のように。


私は少し考えると、結論にたどり着きました。

「あぁ!なるほど!!」


つまり、いつもは耳やツノを隠すのに使うフードが、今は耳やツノが無い事を隠している訳ですね?

そうと分かれば話は早いです、私はフードを被ろう…としますが。そこには先客がいる事を忘れていました。

始めの頃は首が重たいと思っていましたが、最近は、この程よい重さにも慣れてしまい、いなくなったかと思って、フードの中を確認する事がたまにあります。


私は仕方なく、街行く人に注目されながら大通りを歩いていく事になりました。


大通りには人間の街と同じ様に冒険者ギルドや商業ギルドがありましたが、今日のところはスルーします。

そして、たくさんのお店等がありましたが、今日は、そろそろ日が暮れる為、営業を終了するらしく、どのお店も後片付けをしていました。


所々開店の準備をしているお店は、俗に言う夜のお店ってやつでしょうかね?



すると…

「えっ!」

と言いながら、リッカちゃんが閉店準備をしていた、八百屋さんとみられるお店に駆け寄っていきました。


「何かあったんでしょうか?」

「さぁ、とにかく、行ってみよう。」


私達がリッカちゃんに追い付くと、リッカちゃんは綺麗に並んでいる商品を品定めしているようです。

しかし、閉店間際なのに商品が綺麗に並んでいるというのは、お店的に大丈夫なのでしょうか?


「安いですわね…しかも良いところばっかりですわ。」

「そうなんですか?」

私には相場が分かりませんが、リッカちゃんが安いくて良いと言うならそういう事なんでしょう。

「お前達、観光客か?そう思うなら買っていってくれよ」

突然、八百屋さんのおじさんに話かけられました。

「勿論ですわ!全部欲しいくらいですもの。でも、なんでこんなに安いんですの?他の街の10分の1位くらいの価格だと思うんですが…。」


「あぁ、それはな。野菜や果物が取れ過ぎて余ってるんだよ。このままだと、そのまま捨てる事になるだろうさ。」


余る?捨てる?なぜ?


「消費できない程作った、という事ですの?」

「まぁ、結果的にはそうなるな。」

「結果的に?」

「あぁ、本来ならば魔物や動物に畑を荒らされて、取れる量が減るはずだったんだよ。でも、どういう訳か、今年は魔物や動物が街の周辺から姿を消しているんだ、そのおかげで作物は大豊作、それとは逆に肉類は高騰しているがな。

はぁ…たまには肉が食いてぇなぁ…。」


なんか、どこかの街と状況を足して割ればちょうどよくなりそうですね…。

逆に私達は肉を食べ飽きてしまいましたから…。



「なるほど、よく分かりました。教えて頂きありがとうですわ。」

「いいってことよ、それより何か買うなら安くしとくからたくさん買ってくれよ!どうせ最後の客だからな、もちろん全部買ってもいいぞ」


これ以上安くしたらタダ同然ですよね…。

でも最後の冗談は私達には通用しませんよ?

だって…。


「では、全部」

「………えっ?」

「全部頂きますわ!」


ほらね?



「いやいやいやいや、冗談だろ?そもそもどうやって持って帰るんだよ」

「どうやってって、こうやるんですわ。」

目の前にあったトマトをアイテムボックスに入れるリッカちゃん。


「…アイテムボックスか!?この街にもアイテムボックスを使える魔族が何人かいるが…まさか、お嬢ちゃんが使うとは思わなかったな…。」


魔族の人?はアイテムボックスを使える人が人間に比べて多いみたいですね。ピーケより小さい街に見えますが、数人はアイテムボックスを使える人がいるいみたいです。


「ところで、相談なんですが先程、肉を食べたいと言っておりましたよね?」

「あぁ、言ったな」

「それで、アイテムボックスを整理しないと、ここの商品全部を入れる事が難しいと思うのですが、代金の代わりにオーク2頭と交換する。という事は可能ですか?」


リッカちゃんなら、オークを出さなくても、このお店ごとアイテムボックスに入れれると思いますけど…。

まぁ、何か考えがあるのでしょう。



「………マジ?」

「マジですわ!」



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