131話 穴ぼこの空け方
「この辺りですわね」
リッカちゃんに案内されること約2分、私達が捜索…穴堀りする場所に到着しました。
私達に割り当てられた場所は長方形で、その四隅は杭が立っていて隣との境界も分かりやすくなっていました。
「詰めれば10ヵ所くらい掘れそうですね」
「そうですわね。でも、この中に本当にお宝が眠ってるのでしょうか?」
「それは分かりませんが、とりあえず掘ってみましょう。リッカちゃん、スコップを出して下さい!」
「えっ?私、スコップなんて持ってませんわよ?」
「えー!?そんなんで、どうやって穴堀りするつもりだったんですか!?」
「それは、アリスさんからスコップを…。」
「「………。」」
私達は2人で、お兄ちゃんを訴えかけるような目で見つめます。
私達の視線に気が付いたお兄ちゃんは振り替えって後ろを確認します。
しかし、そこには当然誰もいません。
「…あると思う?」
「「もちろん」ですわ!」
「そっか、残念だけど、期待に応えられそうにないなぁ…」
なんと、お兄ちゃんもスコップは持っていないそうです。
いったい2人とも、どうやって穴堀りするつもりだったんでしょう?
「それじゃ、どうするんです?」
「そうだなぁ、たまには自分で考えてみようか?」
「自分で、ですか?」
「そう、自分で。」
…なるほど、いつもお兄ちゃんに頼ってばかりですしね。たまにはいいかもしれません。
「それでは、誰が一番早く穴を掘れるか競争しませんこと?」
「おー、いいですね!賛成です!」
と、言う事で私達の穴堀り大会が始まりました。
私はとりあえず思い付いた事を片っ端から試してみようと思います。
と言う事で、シールド魔法でスコップを作ってみました。
流石私のシールド魔法と言う所でしょうか、ものすごく軽く、そして地面への刺さり方にほとんど抵抗がありません。もう、これはスコップではなく…武器ですね…。
でも、地面に刺す時は力は要らないのですが土を掘り起こすのに力が必要ですね。そして、非常に効率が悪いです…。
そして物音に気が付き、リッカちゃんの方を見ると、耳を塞ぎながら、なにやら螺旋状に切れ込みが入った円錐状の物…(あれもシールド魔法みたいですが…)を逆さまにしてクルクルと回転させながら地面に突き刺しています。
ズゴゴゴゴ…っと凄まじい音を上げながら、ものすごいスピードで地面を掘り進めています…が…。
あれでは、お宝もダメになってしまいそうですね…。
それに対してお兄ちゃんの方を見ると…。
あれ?お兄ちゃんはどこに行ったのでしょう?
あっ、いました。でも、なんであんなに離れた所に?
そして、よく見ると、お兄ちゃんとの間の地面に無数の穴ぼこが空いています。
もうこんなに穴を掘ったのでしょうか?
それも、こちらは音もなく…。
しかし、お兄ちゃんを見ているとそんな謎が一瞬にして解き明かされました。
どうやら、お兄ちゃんは地面の土を、そのままアイテムボックスに入れているようです。
なんと、便利なアイテムボックスなのでしょう!
早速、私もやってみます。
スッ、っと消える地面、そして出来上がる穴ぼこ…。
「………穴堀りって、簡単ですね。」
「そのようですわね…。」
「あれ?リッカちゃん、いつの間に…」
「たった今ですわ、それにしても…改めてアイテムボックスが便利だと思い知りましたわ…。」
「そうですね。」
そして、私達は全員でアイテムボックスを使い穴堀りを始めました。そして、領主のお姉さんに指定された範囲に穴ぼこを空け終わるのに、たいした時間はかかりませんでした。
「ぜんぜん見つかりませんね…。」
「えっ?何が?」
「何がって、埋蔵金です!お宝ですよ!お兄ちゃんはもう忘れちゃったんですか!?」
「あぁ、そう言えば最初はそんなんだったね。忘れてたよ。」
信じられない事に、お兄ちゃんは本当に本来の目的である、宝探しを忘れていたようです。
いったい、今まで何の為に穴を空けていたのやら…。
「それで、どうするんですの?もうこの範囲には、穴を空けれそうにありませんが?」
「うーん…。お姉さんに頼んで新しい場所の書かれた紙を貰いに行きましょうか、次は1人1枚で…。」
「まぁ、それしかありませんわよね…。」
と言う訳で、再びお姉さんの所へ。
「あら?あなた達、どうしたの?」
「はい。さっきの所は、もう穴堀りが終わったので、次の場所が書かれた紙を貰えないかと思って…。」
「えっ!?もう終わったの!?そんなまさか…。」
お姉さんは、さっきまで私達が居た所を眺めています。私達に渡された場所は、比較的近く、ここからでも確認する事ができます。
「ほ、本当に終わってる…。」
お姉さんは目を見開き、しばらく呆然と立ち尽くしていました…。
もしもーし?大丈夫ですかぁ?
おかしい…昨日も投稿した気がするのに、今日も書かなきゃいけないのは何故???