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126話 遠回りの仕方

あれから、10数年の月日が流れ…てはいません。たぶん10数分くらいです。


私達はネスの町門を出て、街道を少し逸れた、川の畔の道を歩いています。

なんでも、リッカちゃんが言うには「同じ道を歩いても面白くないでしょう?」と言うので、それに賛同した結果こうなりました。

なんだか別の意図も隠されていそうですけど…。

この道の周りは、一面の畑…だった所が広がっていて、今はただの荒れ地になっています。

しかも、川の水はかなり干上がっていて、川幅に比べて水の量が、かなり少ないように見えます。これでは、お魚は住めそうにないですね…。


その川を川上に向かって歩いていると、渇れかけた川の水を飲む、オークの群れに出会しましたが、オークはこちらに気が付き警戒はしていたものの、特に襲ってくる様子はなかったため

そのまま通過しました。

人間に友好的?なオークもいるのでしょうか?

それとも私達の強さが分かるから襲って来なかったとか?


…まぁ、考えても答えは出ないんですけどね。




そのまま少し歩いていると、前方から冒険者と思われる5人組が近づいて来るのが見えました。

「こんな所に冒険者なんて珍しいですね?」

「ですわね?」


そして、その冒険者達とすれ違った時。

「「「「「あっ!」」」」」

「あら?」


「君は昨日の…」

「まだ、こんな所を歩いていたんですの?」

「うっ…」

誰でしょう?リッカちゃんの知り合いみやいですが?

「いや、仕方なかったんだ!あの後、君を追いかけて全力で走ったんだけど、追い付けなくて、水をがぶ飲みして。そのせいでお腹を壊して。それで水がなくなってしまったから水を汲みに遠回りするはめになって…。」


なるほど!ただのバカですね。

「バカなんですの?」

リッカちゃん、いくらなんでも声に出すのはどうかと思いますよ?


「「「「「………。」」」」」


冒険者の皆さんは、返す言葉もないみたいです。


「あっ、そういえば」

「どうしたんですの?」

「いえ、この先にオークの群れがいますので、注意して下さいね。っと、一応言っておこうと思いまして。」

「あぁ。そういえば、いましたわね、そんなの。」

「オークの群れって…それが本当なら、数にもよるが、迂回して別の道を選ぶ必要が有ると思うんだが…。」

「数は、そうですわね。20頭くらいでしょうか?」

えーっと、よく覚えていませんが確かそれくらいだった…ような気もしなくはありません。

「20頭か…戦うとなると、正直ギリギリだな。」

ギリギリ負けるって事ではないですよね?

「でも、君達はどうやって抜けて来たんだ?」

「普通に脇を歩いてきましたよ?」

「脇って?襲われなかったのか!?」

「警戒はしていましたが、襲ってくる様子はなかったですわね?」

「そう…なのか?人間を見て襲ってこないオークがいるのか!?」

「えぇ、まぁ、私達は襲われなかったですよ?。」

「そうか、分かった気を付けよう」

「それでは、ごきげんよう」


そう言って、強引に冒険者と別れたリッカちゃん。

それにしても、「ごきげんよう」なんて、まるで貴族のお嬢様みたいですね。



………いえ、リッカちゃんは貴族のお嬢様でしたね…。




冒険者の皆さん別れ、暫く歩いていると、分かれ道がありました。

その別れ道の立て看板には、こう書かれていました。


『←街道 農道→』


「いやいや、もっと他に書く事あるでしょう!?」

街道はともかく、農道なんて見なくても分かります!

「まぁ、シンプルで分かりやすいのではないかと?」


まぁ、つまりはネスとピーケとを結ぶ街道に戻る道と、大きく右にカーブする川沿いを進む農道ですね。

川沿いの道は、見える範囲では今まで歩いて来た所と同じように、川の両脇は畑だった荒れ地が広がっているみたいです。

「こっちに行ってみますか?」

私は農道を指差してみます。

「行きませんわよ。それに、ピーケの街にちょっと用がありますので。」

「ピーケに用事ですか?」

何かあったでしょうか?

「それじゃ、こっちだね」

お兄ちゃんが街道に戻る道を指した、その時。


「「!!」」

探知魔法に反応があり、すぐさま私とリッカちゃんが今まで来た道を振り返ります。


えっ?お兄ちゃんですか?

たぶん、気が付いてましたよ……たぶん…。


振り返って視力を強化して見ると、そこには遥か先で沸き上がる土煙、その手前にはオークの群れ、更にその前には全力で逃げる冒険者が……5人…。


「あれほど気を付けてと言っておいたのに…」

「まぁ、バカですし。仕方ありませんわね…。」

…確かに、バカなら仕方ないですね…。

「どうしますか?」

バカは放っておくと言うのもありますが…。

「確か、ギリギリ勝てるとか言ってなかったか?」

「確かに、それなら獲物を横取りする事になってしまいますね?」

「しゃぁ、道を譲ってスルー。向かって来た奴のみ倒すって事で。」

「はい!」

「分かりましたわ!」


私達は先程のあまり意味のない看板の後ろに隠れ、嵐が過ぎ去るのを待つ事にしました。



当然、隠れきれてませんが…。



灌漑農業、綿花、塩害…

勉強しなきゃいけない事がたくさん…。

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