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121話 ドラゴンの暴れ方(アイリ視点)

ドラゴンは出ません(ネタバレ)

翌朝…


不味いです、非常に不味いです。

いえ、昨日のカレーは美味しかったですよ?


何が不味いのかと言いますと…。

昨日は寝る寸前まで魔法の練習をしたのですが、結局魔法は使えず…。

頼みのお母さんは、昨日魔力を使いすぎてダウン。

今日の夕方にはアリスさんと魔法の勝負をする予定なのに…。




こうなったら、背に腹は変えられません!


私はお兄さん達のいる客間に突撃しました。


「…おはようございまーす」

私は小声で挨拶をしながら客間のドアを開けます。


「おはよー、どうしたの?」

部屋に入ると、お兄さんは既に起きていて、何やら分厚い本を読んでいました。アリスさんはまだ寝ているようです。…よだれを垂らしながら…。


これは都合がいいですね。


「あの…実はお兄さんにお願いがありまして…。」

「魔法を教えてくれって、言うんでしょ?」

「えっ、なんで分かったんですか?」

「昨日、結構遅くまで魔法の練習してたでしょ?」

「見てたんですか?」

「見てはいないけど、夕食もそこそこに練習しに行ったでしょ?魔法の練習がうまくいかなかったのかと思ってね。」

「あぁ、なるほど…。」

その通りですね。

でも、呪文も間違えていないのに、なぜ私は魔法が使えないのでしょう…。

もしかして…あまり考えたくはありませんが、私って魔法の才能ないのかも…。


「それじゃ、行こうか。」

「えっ?何処に?」

「昨日、アリスに魔法を教えた場所かな?」


アリスさんに魔法?昨日は姿が見えないと思ったら、私に内緒でそんな事をしていたんですね!?

いや、少しは練習の時間が必要とか言ったのは私なんですが…。






そして、私達は町を出て手を繋いで森に向かって歩いています、まぁ森と言っても小さな森なんですけどね。

でも、子供じゃないんですから、手を繋がなくても私は居なくなったりしませんよ?

まぁ、お兄さんが手を繋ぎたいなら別にいいですけど…。


…こうしているとデートみたいですね…。


あぁ、変な事を考えてしまいました。何か別の事を考えないと!



「今日はどんな魔法を教えてくれるんですか?」

「ん?昨日はどんな魔法を教えて貰ったの?」

質問を質問で返されてしまいました…。


「えーと、確か初級の生活魔法とか言っていたような?

火を着けたり、水を出したり、風を起こしたりでした。」

後は、石ころを飛ばしたり、辺りを明るく照らしてみたり、覚えたてのアイテムボックスも披露してくれましたが、お母さんの疲労がたまっただけでしたね…。


「なるほど、なら今日はそれの応用で、火の弾を飛ばしたり、氷の槍を飛ばしたり、風の刃を飛ばしたりしてみようか。」

とりあえず何か飛ばすんですね…。

「えぇ!?そんなの無理ですよ!!昨日は全く魔法を覚えられなかったのに…。」


「大丈夫大丈夫、魔法なんて簡単に覚えられるから。」

いやいや、簡単に覚えられるなら私だって苦労しませんよ!


そんな事を言っているうちに、どうやら目的地に到着したようです。

しかし…なんでこんな所に切り株が?

しかも、その切り株を基準に、辺りはかなり荒らされています。

そうですねぇ。例えるなら、何か大きな生き物が戦っていた跡のような?


しかし、お兄さんはそんな事は気にせず、徐に切り株の上に腰掛けました。


「それじゃ、早速始めようか。」

「はい!よろしくお願いします!」

「じゃぁ、まずはここに座って」

「…えっ…?」


座って、と指差された場所は、お兄さんのお膝の上でした…。

えっ?なぜにそこに座る必要が…?


………まぁ、座れと言うなら座りますけど…。



ちょこん。



「じゃぁ、まずは火魔法からね。」

そう言うと、お兄さんは、私の手首を掴むのと同時に私の体に何かがゾワゾワと流れる感じがして、私の手のひらに小さな炎が灯りました。


「え? えっ!?」

なんでしょう?まるでお兄さんの魔力が私の中を通ってから使われているような、不思議な感覚がします。


「どう?魔法を使う感覚分かった?」

「どう?って言われても…。…何故か分かった気がします…。」

「それなら大丈夫かな?今の感覚で、ちょっと自分で魔法を使ってみてよ」

「へ?」

そんな簡単に魔法が使えたら苦労は…

私は半信半疑で、さっきの魔法の感覚を思い出しながら魔法使ってみました。

すると…

ボッ。と私の手のひらから、小さな炎が灯りました。

「うん、大丈夫そうだね。なら、このまま一気に他の魔法も覚えちゃおうか。」

「ええぇ!!!」


そして、このまま一気に、お兄さんによる、魔法の詰め込み授業が開始されました。






3時間後…


「昨日の苦労はいったい…。」

そう、私はたったの3時間で火の弾、氷の槍、風の刃…と、3つもの攻撃魔法が使えるようになりました。なってしまいました。

しかも、この魔法、かなり強くないですかね?

私が魔法の練習をしたせいで、この辺りだけ、まるでドラゴンが暴れ回ったかのようになっているんですが…。

と言うか…なんで呪文を言ってないのに魔法が使えるのか、訳が分かりません!呪文って魔法を使うのに重要じゃないんですか!?



「じゃあ目標も達成したし、そろそろ帰ろうか。」

「はい。今日はありがとうございました!」




そして、魔法の練習を終えた私達は家に戻りました。

もちろん、帰り道も手を繋いで。



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