117話 ゴブリンの倒し方(リッカ視点)
ペチペチ、ペチペチ
なんでしょう?何か柔らかい物が、私の顔を叩いています。
ペチペチ、ペチペチ
ちょっと鬱陶しいですわね…。
私は、その柔らかい物を払い除けます。
もふっ
今度は何か、もふもふとした物が、私の顔に覆い被さってきました。
くっ、苦しい…。
えぇ、分かりましたわ…起きればいいんでしょう、起きれば…。
私が重い瞼を開くと目の前は真っ暗…いえ、真っ黒でしたわ。
私は、顔の上に乗っていたリボンちゃんを抱き上げ話しかけます。
「起こして下さってありがとうですわ」
「にゃーご?」
「さて、今の時間は…?」
私は、窓の外を見て現在時刻を確認します。
この家に時計がないのは残念ですが、それは仕方ありません。アイテムボックスに入れると止まってしまうので…。
外は良く晴れていて絶好のお洗濯日和と言えそうですわね。
まぁ、私達のワンピースは魔法でできているので洗濯は必要ありませんが。
肝心の時刻の方は、ちょうどお日様が顔を出したくらい、リボンちゃんは完璧な時間に起こしてくれたみたいですわ。
私がワンピースに着替えると、すかさずリボンちゃんはフードの中へ入り込みました。
今日は朝ご飯を食べずに出発し、早めのお昼にする事が分かっているのでしょうか?フードに入った途端にあっという間に眠ってしまいました。
まるで私を起こすために起きていたみたいに感じますわね。
「さて、では出発しましょうか。特に準備は必要ありませんし」
そして、家を片付けると、私達は町へ向けて走り出しました。
全速力で…
3時間程たったでしょうか?
私達がそろそろ休憩にしようかな?と思っていた所、前方にゴブリンの群れが現れました。
おそらく、昨日出会ったゴブリン達でしょう。
そのゴブリン達が、昨日すれ違った冒険者達と思われるパーティーに襲われています。
………いえ、間違えました。どうやら襲われているのは冒険者のパーティーの方みたいですわね…。
冒険者は5人、対するゴブリンは10頭程が倒されていて残りが40頭程。
助けた方がいいんですわよね…。
はぁ、なんでこう、私は次から次へと面倒事に巻き込まれるのでしょう…。
私は、仕方なくアイテムボックスから2本のライト性バーを取り出し、ゴブリンに向かって走りだしました。
「くそっ!数が多すぎる」
「リーダー!後ろ!」
「ぐあっ!」
リーダーと呼ばれた男性が後ろからゴブリンの攻撃を受けて膝を着いた所、すかさず別のゴブリンが左右から棍棒で殴りかかってきた所…
『スパスパーン』
っとゴブリンの首が2つ吹き飛び、颯爽と私が登場しました。
「助太刀致しますわ!」
「すまん、助かる…。って、子供!?」
「子供じゃありませんわよ!」
失礼ですわね!3ヶ月後には晴れて成人の仲間入りですわよ!
まぁ、それまでは子供と言えるかも知れませんが…。
「おい!後ろ!」
「え?」
私が気が付いた時には、私の背後で棍棒を振りかざしたゴブリンの影が殴りかかる瞬間でした。
(あぁ、なんで今日に限ってフードを被ってないんでしょう…)
私は咄嗟に腕で頭をガードしました。
腕で防げば、後はワンピースがなんとかしてくれるはずですわ。
そして、首の辺りで何かがモゾッと動いたと思った瞬間、聞こえて来たのは、私の腕に伝わる衝撃音ではなく、両目に深い傷を負ったゴブリンの雄叫びでした。
私が何が起こったのか分からず混乱していると、冒険者の1人が。
「い、いま。フードの中から何かが!?」
フードの中ですの!?
私のフードの中には、リボンちゃんしかおりませんが?
………まさか…。
「あなた。今、何をしましたの?」
「にゃーん?」
と、言いながら私の肩に移動してきたリボンちゃんは、腕を振って風魔法を飛ばし、またゴブリンを倒しましたわ。
「ね、猫が魔法を!?」
「しかも、かなり強くないか!?」
「お前ら!見てないで攻撃しろ!!」
「おっ、おう!」
こうして、形勢が一気に逆転したゴブリンたちは、瞬く間にその数を減らしていきました。
最後、数頭に逃げられてしまいましたが、追いかけるのもめんどくさいので、これにて戦闘に終止符が打たれましたわ。
「それでは、私は急ぎますのでこれで。」
これ以上この冒険者の方々に付き合っても、いい事はないでしょう。
「待ってくれ!」
…えぇ…知ってますわよ。呼び止められる事くらい…。
「なんですの?」
私、急いでいるのですが…。
「このままゴブリンの死体を放置して行くのか?魔物の死体を放置しておくと、その死体を餌に魔物が増えるんだぞ!?それに、ゴブリン自体は売れないが、魔石は取れてるし、お金になる、取り分の相談もしたい。」
至極真っ当な意見ですわね。
今はお金は要らないのですが…ゴブリンの処理は手伝わないといけないようですわね…。
おかしい…まだリッカ視点が終わらない…。