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113話 半額セールの仕方(リッカ視点)

今さらで申し訳ないんですが、リッカの一人称は、「私=わたし」ではなく「私=わたくし」です。

まさか、私が料理で勝負を挑まれるとは思いませんでしたわ。


しかし、挑まれたからには全力で迎え撃たなければ相手に失礼ですわよね。

それに、アイリさんは料理にはかなりの自信があるように見受けられましたわ。

そうなると全力でやったとしても、負けてしまうかもしれませんが…。


まぁ、その時はその時ですわ。


私は、今出来る事を全力でするだけですわ。

その為に、お兄様に頼んで包丁と生板を作って貰ったんですもの。

それに、アリスさんには、料理の練習場所として、家も借りました。これで負けたら相手を誉めるしかありませんわね。



それにしても…この街は相変わらず食料が少ないですわね…。

いえ、違いました。オーク以外の食料が少ないの間違いですわ。


しかし、どうしましょう…。食材がないと料理のレパートリーがかなり狭まってしまいますわね…。


えーと、今アイテムボックスに入っている食材は…。

そこそこの数のお魚と、調味料が少し…。それと、それはそれは多くのオーク…。


…駄洒落じゃないですわよ?


野菜とか果物もない訳ではないですが、とても足りるとは思えませんわね…。



…確か、隣街のピーケは馬車で2日はかからなかったですわね…。


なら、急げば間に合いそうですわね?


一番足の遅いアリスさんもいませんし。

それに、一番体力のないアリスさんもいませんので。



今の時間は午前の10時くらい。

今から町を出れば、夕方にはピーケに着いて夜まで買い物、そのまま蜻蛉返りしてピーケの近くで夜営、そこで料理の練習をして明日の朝に出発すれば遅くとも明日の夕方には帰ってこれるはず。

そして決戦は夕飯なのでギリギリ間に合うはず…。


なかなかハードなスケジュールですが、どうにか間に合うと信じて行ってみましょう!

このままでは、焼き魚かオークのステーキくらいしか作れませんし。


そうと決まれば善は急げですわ。

私は北門へ向かって走り出しました。


…普通の速度で…。




北門に着き門番さんにギルドカードを見せた私は、門が見えなくなると同時にピーケに向け全力で走りだしました。


「アリスさんがいない分、かなりのスピードアップができますわね。これなら、割と余裕を持ってピーケに着きそうですわね。」


その後、何度か休憩を挟み、魔力切れにならないように気をつけながら、走っていると、ゴブリンの群れに出会しました。

が、当然無視して先を急ぎました。

ゴブリンはこちらに気が付いて追いかけてきましたが、あっという間に見えなくなりました。

「まぁ、50頭程の群れですし、放って置いても大丈夫でしょう。」


その後、向かってくる冒険者の方々とすれ違った他は、特に何事もなく、ピーケの街に到着しました。


「はぁ、流石に疲れましたわ…。でも、休んでる暇はないですわね。」


今の時間は午後4時くらいでしょうか?

とりあえず、ギルドに行ってオークを換金しないと、お金が足りないですわね。

確か、冒険者ギルドはこちらに…。

私は冒険者ギルドに着くと、入り口に貼り紙がされているのを見つけたので、読んでみる事にします。


えーと、なになに…。


『ネスよりオーク大量入荷により、暫くの間オークの買い取りを停止致します。』


「なっ!?なんですって!?」

これは、まずいですわね。

オークを買い取って頂けないとなると、食材の調達ができませんわ!


えーと、他に売れそうな物は…。


お魚…は海から比較的近いのであまり大きな金額にはならないでしょう。


後は…木?とか?


私のアイテムボックスの8割以上を占めている、例の間伐材ですわね。


これは売れるのでしょうか?

そう言えばこの辺りは見渡す限りの畑と草原で樹木は少なかったような気がしますわね?

焼き畑農業でもやっていたのかしら?


…間伐材は売ってしまいましょうか、持っていても邪魔ですし…。

まぁ、買い取ってくれるのであればですが…。





そして、私は商業ギルドに来ていますわ。


その商業ギルドの入り口には、なんだか見覚えのある貼り紙が…。


『オーク肉半額セール中!!』


あっ、はい。



私は貼り紙を無視し商業ギルドの中へ入りました。

商業ギルドの中は半額のオーク肉を求める人で賑わって…いる訳ではなく、ガランとした様子でした。


私は、空いている受付カウンターの中でも、特に暇そうにしていた、おじさんの所を選び話しかけます。


「こんにちは」

「おう!なんの用だい?」

このおじさん…急に元気になりましたわね?

「木材を買い取ってもらう場合、どれくらいの相場になりますか?」

「うん?ネス近郊に流れ着いた流木か?ある程度纏まった数なら引き取ってもいいが…。」

「いえ、流木ではなく森の間伐材ですけど?」

「森の間伐材?って事は生木か?おいおい、この辺りには森と呼べるような所はないだろ?」

「えぇ、この辺りにはないですわね。」

間伐したのは海の向こう側ですし。


「…………」

「???」

おじさんが私の事をじっと見つめています。どうしたんでしょう?


「なるほど…どうやら本気で言っているみたいだな。言っておくが、この街の木材の価格はかなり高いぞ。」

「あら、それは良かったですわ。」

これなら、練習の分も含めて10人前くらいの食材の代金くらいは問題なく手に入れられそうですわね。



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