1話 朝食の食べ方
夜明けと共に降りだした雨がしだいに強くなってきた。
朝の路地裏で踞る私、別に好きでこんな所にいる訳ではない。
冷たい雨が私の体温を奪っていく。
寒い、お腹は空いたが、もう動く気力もない
私の名前はアリス、ついこの間10才になったばかり。
両親は先週、私をこの街に連れて来た時、いつの間にか姿が見えなくなった、辺りを探したが見つからないまま今日に至る…
しかし、捨てられたと分かるのに時間はかからなかった
街に入った時から、なんとなくそんな気もしてたから…
ポケットの僅かなコインを握りしめ最後のパンを買ったのは2日前、成長期の食べ盛りな子供にはそろそろ空腹も限界なのでありまして…
神様、どうやらそろそろ天使さんにお迎えを寄越してもらう事になりそうです
そして目の前が若干暗くなり…
「大丈夫?」と声をかけられると同時に雨が止む。
そして顔を上げると目の前には黒っぽい服を着て手には大きな鎌…じゃなくて…傘を持ったお兄さんが立ってました。
(ぐぅ~)
そしてナイスな恥ずかしいタイミングで鳴る私のお腹…
私の顔が赤くなったのは目の前のお兄さんがイケメンだったからに違いない!
「あんまり面倒事には巻き込まないで欲しいんだけどねぇ…」と言いつつ、何処からともなく出てきたサンドイッチを出して差し出すお兄さん、それと同時に魔法で水をカップに注いでくれました。
どうやら、このお兄さんは数少ない魔法使いで、その中でも更に更に少ないアイテムボックスの魔法を使える人みたいです。
私はもしゃもしゃとサンドイッチを瞬く間に消費し水を飲み干しました、美味しかったです
「君は家出?迷子?それとも…」
「それとも…です!」
「あ~」
私の回答?になんとなく察してくれたらしいお兄さん
「まぁ、乗り掛かった船だし仕方ないか。幸い魔力は高いみたいだし…。」
魔力がどうとか言ってますが私の事なんですかね?でも私、魔法なんて使えませんよ?。
「さて、じゃぁメシ代分しっかり働いてもらおうか」
「!?」
騙されました!詐欺です!
優しそうなお兄さんのふりをした悪魔の詐欺師でした、やはり世間は世知辛いです!
「まずは、この街の冒険者ギルドに案内してもらおうかな」
と言う訳でお兄さんを相合い傘で冒険者ギルドに案内しながら事情説明を受けます。
どうやらお兄さんは今日の明け方この街に到着し美味しそうな匂いに牽かれ早朝のパン屋さんで朝食を購入、めでたく私のお腹の中に吸い込まれる…そして今に至る…
冒険者ギルドの事は街に来る途中で出会った商人さんに聞いたみたいです。
てくてく…
そんなこんなで冒険者ギルドに到着です
(かららーん)
ドアベルを響かせ冒険者ギルドに突入
中の皆様からギロりと視線の洗礼を受けます
朝のギルドはかなり賑わっていて依頼ボードの前は人で埋め尽くされてました。
お兄さんは依頼ボードには目もくれず空いているカウンターの方へ向かいます
「初めてなんですが、どうすればいいですか?」
どうやら冒険者ギルドは初めてみたいです、冒険者登録するんでしょうか?
「はい、冒険者登録ですね? 登録両として銀貨3枚頂きます」
「えーと、持ち合わせがないので買い取りを先にしてもらう事は出来ますか?」
「はい、大丈夫ですよ。それで、買い取る物はどちらに?」
「オークなんですが…ここに出しても大丈夫ですか?」
「え?オークなんてどこに…」
「まぁ見せた方が早いか…」
と言いつつ出てきたオーク…推定300㌔…が3頭。
「「「「「え~!」」」」」
重なる受付嬢と偶然見ていた冒険者の声
「そ、それ、どこから…」
「アイテムボックスですけど何か?」
「…………えーと、解体していないので1頭当たり金貨3枚で買い取らせて頂きます」
たっぷり沈黙した後ようやく復活した受付嬢の言葉に頷くお兄さん
「それでは、こちらの紙に名前と職業を書いて下さい、書き終わったら試験がありますのでギルド裏の訓練場にご案内致します。」
「試験があるんですか?」
「最初のランクを決める試験があります、まぁあのアイテムボックスがある時点でCランクは確定でしょうが…」
「ふ~ん」
そう言いながら紙に名前を書き込むお兄さん…
どうやらこのお兄さんの名前は『シェイド』さんと言うみたいです、職業はやはり魔法使いでした、そういえば私命の恩人にまだ自己紹介すらしてません!どこタイミングはあるでしょうか…
「それではこちらへどうぞ。」
そして案内されたギルドの裏で待つ事数分…筋肉隆々のデカイオッサンが出てきて…
「俺がこの街のギルドマスターの『アデク』だ、よろしく頼む。アイテムボックスが使えるそうだな?
試験の内容は俺に勝てればBランク、無理ならCランクだ、武器、魔法等何を使っても構わない、何か質問は?」
「…いや、特にないかな、それじゃぁよろしくお願いします」
かくしてシェイドさんの試験が始まった。




