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「想像」スキルで異世界最強

んん~。なんか暖かくて気持ちよくて・・・。


例えるとすれば夢を見ていたような気分だ。朝起きて、まだ意識がはっきりしてなくて布団でまったりしている時間。そんな感じ。


少しでもそんな時間を楽しみたくて、布団を掴むように近くにあるものを手繰り寄せる・・・。


「んん・・・ご主人様、ダメです、よ?」

「もうちょっとだけ・・・。」

「ふふっ、わかりましたよ。」


優しい声によけい意識が微睡んでいく。柔らかくて暖かい何か(・・)を引き寄せる。引き寄せる手が沈み込んで、意識も深く沈み込んで行く・・・。


「・・・ん?」

「あら、ご主人様。もうちょっと私を堪能されるのではなかったのですか?」

「え、えぇぇ!」

「ひゃぁ!」


目を開けると目の前にはヘルの顔があった。一瞬の思考停止のあと自分がヘルを抱き締めたまま寝転んでいることに気づき、咄嗟にヘルを突き放して飛び起きてしまった。


「あ・・・。す、すまん!ビックリしてしまってな。」

「いえいえ、私もおふざけが過ぎましたね。」


ヘルもふざけてはいたんだな。まぁ、俺としては凄くよかったわけだが。あの心地よい暖かさと柔らかさはクセになりそうで・・・というのは置いといて(後でもっかいやらせてもらえないだろうか)俺は回りを見回した。


「ここ、どこだろうな。」

「ですね。ちょっと待ってくださいね。」


ヘルが空を見つめたまま、何かを探している。


「わかりましたよ。ここは、獣人国の端にある《獣の森》ですね。名前はこんな感じですけど、案外魔物も少なくて安全な森です。」

「そうなのか。」


さっき空を見つめていたのはマップを開いていたわけか。


「魔物がいっぱいいたらさっきみたいに一緒に寝たりもできなかったですからね。」

「そ、そうだな・・・。」


ごもっともだ。


とにかく、場所さえわかればあとはどうにかなるだろう。


「みなさんは魔王城にいるみたいです。ご主人様、行きましょうか。」

「そうだな。じゃあ早速。《転送》!」


目の前に開く黒い穴。幾度となく使ってきた《転送》だが、これを見るのもなんだか久しぶりな感じがする。


そして、俺とヘルは穴を通って魔王城へと移動した。


──────────────────────────────────────────


何もない空間に突然、黒い穴が空く。その中から現れたのは、


「やっとついたぁ!」

「すぐでしたけどね。」


それでも久しぶりな感じがするのだ。この少し湿った空気にも安心感を覚える。


「んん、こ、孝介?」

「孝介様、帰ってきた、の?」


聞き慣れた声が聞こえてくる。その方をみれば、上半身だけを起こしたあかりとミナの姿があった。寝ていたのか目をこすっているが、その手をのけた瞬間、今度は目に透明な液体が溢れている。


「だ、旦那様ぁ!」

「横井くん。よかったよぉぉ・・・。」


感極まったあかりとミナがこっちに走ってこようとした瞬間、リリと恵が号泣しながら飛びついてきた。やはり子供っぽさを感じるが、可愛いからいいか。


「二人とも、ずるいよぉ。」

「同感。私も、ひっつくの。」


一足遅れてあかりとミナが抱きついてくる。久しぶりに感じるこの温もりに、こっちまで感極まって泣きそうになった。


少しの間再会を抱き合って喜んだあと、話を始める。


「ほんとによかったのじゃ、帰ってきてくれて。」

「俺も、帰ってこれてよかったよ。」

「ギリギリでしたけどね。」

「そうだな。ほんと危なかった・・・。」


もうすぐで魂魄ごと消えるところだったからな。そんなことを思い出していると、


「ねぇ孝介。この人は?」


え?あ、そういやまだ説明してなかったな。


「あー、この人は・・・。」

「ヘル、じゃな?」

「へ、ヘル!?そうなの?」


リリはわかるんだな。


「はい。久しぶりですね。ヘルです。」

「ヘル。姿を見るのは初めて。凄く美人。」

「ふふっ、ありがとうございます。これでご主人様のハートを射止められるでしょうか。」

「とっくに射止めてるから大丈夫だ。」


仕方ないだろ。あんなにはっきり言われたんだから。


この会話に他のみんなが反応する。


「えっ!ヘルもそうなの?」

「聞いてないのじゃ!」

「そりゃ、今言ったからな。」

「仲間が増えた。嬉しい。」

「そうですね。やっぱり横井くんは魅力的ですし、当たり前ですね。」


思ったよりみんな驚かないようだった。まぁヘル以外でも四人いたわけだし、そこから五人になっても今更か。


「それでは、ちょっと大切な話をしますね。これはご主人様にも話していないので。」


ちょっとした恋バナが終わり、今度はヘルが大事な話をするらしい。全員がヘルの方を向く。


「まず私たちが戻ってこれた理由として、ご主人様が《想像》で魂魄と肉体の修復を行うという荒業をしたからなのですが、」


ここで少しヘルの顔が曇る。


「実は、咄嗟の判断による魔法行使のせいで・・・僅ながらベヒモスの魂魄と肉体も修復されてしまったのです。」

「「「「「えぇっ!」」」」」


それは、不味いんじゃ・・・。


「ただ、さっきも言った通り修復されたとしてもほんの一部です。あんな化け物が復活する訳ではありません。」

「そ、そうか。よかった。」

「ほんとよかったね。またあんなのと戦うのは嫌だもん。」


次もうまく行くとは限らないからな。


「そうじゃの。まぁ、どこかの世界で単純な生き物・・・(わんころ)にでもなってるかもじゃの。」

「ん、そうかもね。」


真っ黒で隻眼の犬とかだろうか。あいつ隻眼だったし。


とにかく、やっとみんなとのんびりと暮らせる日々が帰ってきたってわけか。


「あ、そういや。リリ、クラスのやつらはいるか?」

「今は王都で町の修理をしておるの。なにか用事があるのかの?」

「あぁ、あいつらも含めて地球に帰りたいかどうか聞こうと思ってな。みんなはどうだ?」


ミナはこの世界の人でヘルは俺の《想像》で生まれたわけだが、あかりと恵は地球にいたわけだしリリももと地球人の転生者だ。帰りたいかもしれないからな。


「私はどっちでもいいよ、孝介についていくから。」

「私もそうしますよ。」

「妾も任せるのじゃ。それに、行き来できるんじゃないのかの?」


それはそうだな。魔力さえあれば行ったり来たりできるはずだ。


「私、孝介様の故郷行ってみたい。」

「ですね。ご主人様の故郷。どんなところでしょうか。」

「そうか。じゃあときどき行ったり来たりしながら生活すればいいか。」


どっちかを選ぶなんてできないし、する必要もないもんな。細かいことは魔法でどうにでもなるだろう。


続いてクラスのやつらに連絡をとる。《転送》を応用したあの技だ。


「おーい、天城。聞こえるか。」


突然の連絡なので少し間が空いたあと、応答があった。


『あぁ、聞こえてるぞ。無事帰ってきたんだな。よかった。』


あいつらもそのことは把握しているんだな。軽く相槌をうったあと、本題に入る。


「それで、みんなは日本に帰りたいかどうかなんだがな。聞いてみてもらえないか?」

『それなら結論は出てるぞ。答えはyesだ。全員一致でな。』


そうか、みんな帰りたいってわけだな。


「一応俺に言ってくれれば行き来することもできるから。そのことも伝えておいてくれ。」

『わかった。ならそろそろ町の修理に戻るな。』

「おぅ。頑張れよ。」


そうして、連絡を切った。


「みんな帰りたいとのことだ。」

「そっか。なら私も一旦帰ろっかな。」

「ん、私もついていきたい。」

「そうじゃの。妾も久しぶりに戻りたいのじゃ。」

「私も一度日本に戻りたいです。」

「私もご一緒してよろしいですか?」


みんなついてくるってことか。


「なら、とりあえず日本に帰るか。」

「「「「「はい(なのじゃ)」」」」」




みんなで日本に行く。楽しくなりそうだな。ミナとリリとヘルの家は・・・まぁうちに泊めればいいか。戸籍とかもどうにかなるだろう。


やっぱり最善とはいかなくても、結果的にみんなと出会えて、こんなに楽しいんだからな。終わりよければすべてよしってやつだ。




今後、ベヒモスのような強いものと対峙することがあるかわからない。それでも何かしらの問題に直面することはあるだろう。


それでも、あかり、ミナ、リリ、恵、ヘル、そして俺が居れば、どんなことでも乗り越えていけるはずだ。なんてったってベヒモスを倒したわけだからな。


これからも、俺たちの旅はつづ・・・。



「なに王道な感じで終わらせようとしてるのじゃ?」

「ご主人様、難しいこと考えてましたよね?」

「な、なぜわかった。」

「やっぱり。孝介は分かりやすいよね。」

「ん、孝介様。見てたら分かる。」

「私も横井くんのことはすぐわかりますよ。それにずっと見ていますし・・・。」



・・・これからも大変そうだ。

やっと一作品名が完結しました!


たくさんの人に読んでいただいてほんとに嬉しいです。今後とも自分の作品を読んでいただければ幸いです。


本当にありがとうございました!

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