目を覚ますと
「ん・・・うぅ・・・。」
ここは?・・・少し湿った匂い。
魔王城だな。さっきまでのは夢・・・ではないよな。何かが抜けてしまったような感じがする。たぶん、いや確実にヘルの存在だろうな。
・・・・・・落ち込んでいても仕方ないか。ヘルが俺のために自分を犠牲にして助けてくれたんだ。それに、好意、つまり好きだといってくれたわけだしな。あと、先生もそうだって言ってたな。なんで知ってるんだろ・・・。ん?先生が?
「え、えぇぇぇ~‼」
朦朧としていた意識が一瞬で覚醒する。飛び起きて・・・。
「っ!いっつぅ・・・。」
体に激痛が走る。まぁ一度死んだんだから当たり前か。
痛みはあるが、ゆっくりであれば耐えられないほどではない。ゆっくりと起きあが・・・れない。
なんだよさっきから!やろうとしたことが何一つできないじゃないか!
・・・なぜ起き上がれないのか。それは体が重いからであって。そう、物理的に重いわけで。
これ何回目だろうか?だいたい、あかりかミナか、魔王城だしリリかもな。「ここは妾の城じゃ。だから、妾が旦那様と添い寝するのじゃ。」みたいな?さて、誰が俺の上に乗っているのか。
布団をめくってみると・・・。
「んん・・・。横井、くん。」
「せ、先生!?」
「ん、ん~!横井くん?」
「あ、あぁ。横井だ。」
「う、うわぁぁぁん!よがっだよぉぉぉ、死んじゃったかと思ったぁぁ~・・・。」
「あ~、まぁ一度死んだな。それより、なんで先生がそこにいるんだ?」
まさかだけど、やっぱりヘルが言ってた通り
「皆さんには休んでもらいたくて私が横井くんのことを見てたのですが、そのぉ~、一緒に寝たかったんです・・・。」
「な、なぜそうなった?繋がりが見えない。」
「えっと、もぅ!正直に言います!私、横井くんが好きなんです!先生ですけど、ダメなんですけど!」
言ってた通りだった。でも展開早すぎるだろ!なんでそんなに急ピッチなんだ。
「だ、だめですか?」
「え、その、みんなは知ってるのか?」
「は、はい。その事を知った上で一緒に寝させてもらいました。」
「そ、そうか・・・。みんなは認めたのか。まぁそうだろうと思ったけどな。」
「そ、その、横井くん。返事は」
「あぁ、別にいいぞ。知ってたしな」
「な、なんでですか!でも・・・うぅぅ、よかったよぉ~。」
「だから、すぐに泣くなって。それだから子供みたいって思ってしまうんだが?」
「ひぃぅ、それは嫌です、ふぅぅ・・・・・・はい、もう大丈夫です。」
自分でもすぐに泣いてしまうことは知ってるんだろうな。たぶんさっきのがそのときの対処法なわけか。
「それで、みんなは今起きてるか?」
「はい!広間のほうにいます。」
「大事な話があるんだ。」
「・・・ヘルさんのことですか?」
気づいてたんだな。
「あぁ、その事だ。俺も広間に行くから、その、抱きつくのやめてくれないか?」
「え?あ!す、すいません!」
実はずっとお腹の上で抱きついていたので、首を先生のほうに向けるのが大変だったのだ。
先生がベットから降りて、それに続いて俺も起き上がる。が、まだ歩くのは難しそうだ。
「先生、肩貸してくれないか?」
「まだ歩けないんですね。はい、どうぞ。」
なので先生に肩を貸してもらった、といっても先生が小さいので、変な態勢になってしまう。
「ありがとな、先生。」
「いえ、先生として、あと・・・妻として当然です。」
「・・・そ、そうだな。」
まだなれないが、それはみんなの時も同じだったしな。いつかは慣れるだろ。それからゆっくり歩きながら、広間へと向かった。
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「みなさん!横井くんが起きましたよ!」
広間に入るや否や、先生がみんなに報告をする。すると、暗かった雰囲気が、ライトをつけたようにパッと明るくなる。
「こ、孝介!大丈夫なの!?」
「孝介様ぁ~、よかったよぉ。」
「だ、旦那様!体は大丈夫なのかの?」
「みんな、心配かけてすまない。体は大丈夫、ではないが、今は生きてるから大丈夫だ。それより、大事な話がある。座ってくれ。」
再会を喜ぶのもつかの間、みんなに座ってもらい、みんなにヘルのことについて説明していった。
「ヘルは存在としては消えてしまった。けど俺の魂魄と混ざっていて、完全に消えてしまった訳じゃないと思うんだ。実際俺のステータスやスキルにもヘルからもらったものがあるからな。だから、ヘルのためにも絶対にベヒモスを倒す。そのためにみんなにも力を貸してほしい。」
最後にはみんなにもう一度お願いする。一度負けた相手だ。勝てるかどうかはわからない。それでもみんなが力を貸してくれなければ可能性は0になってしまう。だから、
「みんなの力が必要なんだ・・・。」
「・・・ふふっ、なんじゃ、そのどこぞのヒーローみたいなセリフは。旦那様には似合わないのぉ。」
「もちろん、孝介のためなら私も手伝うよ!」
「私も、孝介様のお願いだから。それに、ずっと一緒がいいから。」
「わ、私もできることがあれば手伝いますよ!」
やっぱり心配する必要はなかったみたいだな。
「みんな、ありがとな。それで、どうやって倒すかなんだが・・・。」
「横井くん、ちょっと待ってください。」
「ん?先生、どうしたんだ?」
よくみると他のみんなもニヤニヤしてる。なんなんだ?
「一緒に戦ってくれるのは、私たちだけじゃありませんよ。みんな、入ってきてください!」
先生が誰かに話しかける。すると、奥にあった扉が開き、たくさんの人が入ってきた。
逆光でしっかりと顔が見えないが、この雰囲気には覚えがあった。
「横井くん。城から追放されてどこかに行ったと思ったら、こんなことになってるとはね。」
一番先頭にたっている男の声がした。
そう、扉から入ってきたのは、この世界の勇者である、俺のクラスメートたちだった。




