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王の企み

ベヒモスってこんな立ち位置でよかったんでしたっけ?

土煙、そして何やら黒い煙らしきものも混じったものがやつの回りを渦巻いている。


「ベヒモス・・・。ワールドイーター・・・。聞いたことないのじゃ・・・。」

「魔王でも知らないようなことなのか。」

「知らなかったのじゃ・・・。」


そもそもこんなものがいれば絶対に知られているはずだ。なのにリリでさえ知らないとは・・・。


(知らなくて当然です。ベヒモスはワールドイーターの役目を終え、いなくなったはずです。)


ワールドイーターの役目、それは生物の存在できない世界を消滅させること。世界を構成するエネルギーを喰らうことで世界を破壊するらしい。


「そ、そんなやつがなんであそこにいるの!」

「お、俺にもわからん。ただ、発生した場所からして・・・バードック王が関わってるんじゃないか?」


《望遠》のスキルで手がかりを探す。全然使わなかったが、とっといてよかったな。

しばらく探ってみたが、手がかりとなるようなものは見つからない。今はまだベヒモスも動き出していないようだが、いつ動き出すかわからない。

そんなことを考えていた時だった。


ズズズズズズッ!


「な、なんだ!」

「よ、横井くん!なんですかこれは!」

「孝介様、なにがあったの!」


もう一度ベヒモスを見る。すると、ベヒモスが・・・こっちを向いていた。いや、目も俺らのほうに向けられていて、睨んでいた・・・。


「や、ヤバイのじゃ。気づかれたのじゃ!」

「こ、孝介!どうするの?」


大きさからしてすぐにここまで来ることはないだろう。ただ、直接戦って勝てる保証は・・・。

今後の算段を立てていたとき、突然、


『ふふっ!ハハハハハ!見つけたぞ、侵入者ども。まさか最初に追い出した使い物にならない小僧とそれを追いかけていったやつだったとはなぁ!』

「べ、ベヒモス!しゃべった!」

『そうか、これはベヒモスというのだな。さて、これがどういうことか教えてやろうじゃないか。』

「やはり横井くんのいう通りあなたのしわざだったんですね!」

『そう、世界を従えるものであるバードック王だからこそできたのだ!こいつは世界端の石から取り出したエネルギーによって産み出された最強の存在、その体に魂を組み込むことで操ることができるのだ。これでもう、敵などいない!』

(ま、まずいです!すごい勢いで世界の構成エネルギーが吸収されています!)


くっ!ど、どうすれば!


『さあ、すべてのものよ、崇めろ!ひれ伏せろ!ハハハハ・・・っ!ぐぁ!がっ、や、やめ!グガァァァァ‼』


突然、やつが苦しみ始めた。


「こ、孝介様、なにが起こってるの!」

「急に苦しみ始め・・・へ、ヘル!まさか!」

(はい!エネルギーの急激な増加によって人間の魂では耐えられなくなったのです!このままではベヒモスが本能のままに動き出します!)

「そ、それはまずいのじゃ!」


本能のままに動く。つまり、この世界が食われることを意味する。それはまずい!洒落にならないのレベルじゃなくまずい!


「み、みんな!今のうちにベヒモスを倒・・・。」


ドオォォォン‼


耐えられなくなる前に倒そうと指示をしようとした瞬間、ベヒモスから大量の黒い煙が吹き出し、爆発音とともに衝撃波が俺たちのところまで飛んできた。


「くっ!み、みんな、大丈夫か!」

「うん、私は大丈夫だよ。」

「私も、大丈夫。」

「妾もギリギリ飛ばされずにすんだのじゃ。」


そ、そうか。よかった・・・ん?せ、先生は!?


「せ、先生!どこだ!」


返事がない。急いで探しにいこうとすると・・・。


「うぉ!せ、先生。大丈夫か?」

「う、うぅぅ・・・。こ、怖かったですぅぅ。」


足元にしがみついていた。うん、仕方ない。先生は子供なんだから。


「大丈夫だ、ほら、よしよし。」

「はふぅぅ・・・。」

「状況はわかっているのに・・・。」

「羨ましい。」

「妾もじゃ・・・。」


みんなが羨ましそうに見てくるが・・・。この際仕方ない。先生はちっちゃいんだから優先な。

ってそんなことしてる暇はなかったな。もう一度ベヒモスのほうをみると、若干ベヒモスが悲しそうな顔をしている・・・気がするだけだろう。次の瞬間にはさらに黒い煙を吹き出し、目をさらに赤く、そして強く光らせた。


(さらにエネルギーを吸収しているようです!タイムリミットは・・・1週間。時間はあまりありません。)


ほんとに時間はないみたいだな。


(今はエネルギーが足りていないみたいで活発には動けないみたいです。今のうちに攻撃しましょう!)

「あぁ、みんな。行くぞ!」

「「「はい(なのじゃ)!」」」


そして、この世界の命運をかけた、地獄の一週間が始まった。

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