女王とのお話し
今日は、女王への謁見をする予定だ。女王へ連絡はしていないのだが、リリいわく
「妾とテリック女王は古くからの友達での。ときどき遊びに行ったりしてるのじゃ。」
ということらしく、大丈夫だとのこと。まぁ魔王だったわけだもんね。
「さて、そろそろ行くか。」
「そうじゃの。女王は朝も早いし、早めに連絡しておけば会いやすいじゃろう。」
「そうと決まれば早く行こ!」
「うん。早くいきたい。」
「そうですね。早く伝えないといけないですし。」
なら、今から行くか・・・。ん?
「そういや、昨日は暗くてあまりわからなかったんだが、城ってどこだ?」
バードッグ王国には西洋風な城があったのだが、テリック女王国にはそういったものが見当たらないのだ。
(テリック女王国に城はありません。しかし、中央の建物から地下に続いており、そこに女王は住んでおられます。)
地下!
「女王はちょっとかわったやつでの。城は簡単じゃから嫌だそうじゃ。」
「か、かわった人なんだね。」
「でも、地下はあぶない。逃げるところがない。」
そうだな。相手より下になるわけだし、襲われると危ないと思うが、
(それが、転移の魔法やトラップなど敵の侵入妨害に脱出経路などもしっかりしているんですよ。)
そうなのか。まぁ魔法があるもんな。
しばらくするとヘルの言う通りかわった建物があった。中に入ると受付らしき場所があった。そこまでは普通に入れるんだな・・・。
「どうかされましたでしょうか・・・っ!ま、魔王様!?」
「今は元じゃがな。今日は女王に急ぎの話があっての。今女王はおるかの?」
「は、はい。地下10階の女王様の部屋で休憩しておられます。」
地下10階か。他の階は何に使うんだろうな。
(城と同じ働きをするのは6階からですね。地下1~5階はレストランやお店が並んでいます。一般人でも入れるところから、一定の功績をあげたものが入れるところなどの違いがあります。)
貴族などの階級で分けるなんてことはしないんだな。
そんな話をしている間に手続きが終わったみたいだ。
「あ、魔王様。「元じゃ。」リ、リリ様。そちらの方々は?」
「妾のつれじゃ。女王との話に関係があるからの。」
「そうでしたか。では、あちらから地下10階へ行けますので。」
「ありがとうなのじゃ。」
言われた通りに行ってみると、そこには、
「「「エレベーター?」」」
「孝介様、あかり、先生も、それはなんですか?」
日本人組しか知らないもんな。
「私たちが元々いた世界にあったものに似てたからびっくりしちゃって。」
「妾が教えたのじゃ。といっても転移の魔法を使ってるのじゃがな。」
そうゆうことか。中に入って⑩のボタンを押す。すると、一瞬の浮遊感の後扉が開くと、さっきとは場所が変わっていた。
まっすぐ進んだ道の先には1つの扉がある。
(あそこが女王様の部屋ですね。)
扉の前に行き、扉をノック・・・。
ガチャン!
「リリちゃぁん!久しぶりぃ!」
「テリック女王。久しぶりにお会いするのじゃ。」
「もぅ。そんなにかたくならないでよ。」
「ふふっ、冗談なのじゃ。久しぶりじゃな、テール。」
テールはテリック女王の名前だ。ていうかリリとテリック女王ってめっちゃ仲いいんだな。
「ほんと久しぶりだよぉ。前会ったの3ヵ月ほど前だったよね。」
「そうじゃの。こんなに間があいてしまったのははじめてじゃ。すまんの。」
「全然!会えて嬉しいよ。」
3ヶ月が最長か。すごく頻繁に会ってるみたいだな。
「ふふっ、妾も嬉しいのじゃ。それで、今回来た理由なんじゃが。ふたつあっての。」
「ふたつ?」
「ひとつは前話した通りバードッグ王国の不穏な動きについてなんじゃが、これは後で詳しく話そうかの。それで、もうひとつのほうなのじゃが・・・。妾、魔王をやめたのじゃ。」
「魔王を止めた!?って、まさか!」
「そうじゃ。とうとう妾の旦那様を見つけたのじゃ。この方じゃ。」
「ど、どうもはじめまして。横井孝介といいます。」
おおぅ、急にこっちに振ってきたな。
「いいなぁ。リリも結婚しちゃったのかぁ。あぁ、私の王子様はどこにいるの・・・。」
・・・ミナと同じタイプなのか?(メルヘン思考)
「旦那様は優しくての、実はここにいるうちの二人のほうが旦那様と先に結婚しておっての。それでも旦那様は妾を受け入れてくれたのじゃ。昨日の夜も楽しかったのぉ」
「お、おい。変な言い方をするな。」
「どうも、井上あかりです。孝介の最初の妻で、勇者です。」
「ゆ、勇者!?それってバードッグ王国の?」
「はい、けど色々あって孝介と一緒にいます。」
「この事については後で詳しく話すのじゃ。」
「わ、わかった。」
「で、私が二番目の妻。犬獣人のミナです。私がドラゴンに殺されそうになったとき、孝介様が颯爽と現れてドラゴンを倒し、私を救ってくださいました。孝介様は私の王子様です!それに、イヌミミを触ってくれるときなんてもう気持ちよくて、私、はぅ!」
これ以上話されると恥ずかしいので、イヌミミを触って止めた。まぁ幸せそうだしいいだろ。
「は、ハーレムなのね。女だけど、ちょっと羨ましいわ。」
・・・違うとは言えない。
「まぁいまはそんな感じじゃ。楽しくやっておるよ。」
「良かった。」
「それで、もうひとつのバードッグ王国についてなのじゃが。」
「うん。」
「勇者が奴隷化されたのじゃ。」