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山岳地帯

それからは、先生も加えてテリック女王国へと向かった。無事砂漠も抜け、今は山岳地帯を移動中だ。


「砂漠ぬけたら急に涼しくなったね。」

「標高が高い。だから涼しい。」

「すごしやすくていいのぉ。まぁ砂漠でも不自由などひとつもなかったのじゃが。」


冷房効かせて、且つ異空間で休んでたからな。

さすがに高いところは夜が寒そうだな。暖房にも活躍してもらおう。


しばらくすると、突然雨が降りだした。


「横井くん、雨が降ってきましたよ。」

「そうだな。」

「山の天気は変わりやすいっていうからね。」

「でも、ちょっとおかしい。」


そうか?


「そうじゃのぉ。この辺りは雨があまり降らないことで有名じゃからの。降ったとしてもそんなに強く降ることはないんじゃ。」


しかし、今降っている雨はいわゆる"バケツをひっくり返したような雨"だ。そんな話をした直後


ドガーン


「ひゃう!」


強い光とともに鼓膜の破れるような音が聞こえてきた。雷だ。それも俺たちのすぐ近くに落ちた。


ドゴーン


「ひぃっ!」


ガシャーン


「きゃう!」

「せ、先生。そんな雷がすぐ近くに落ちたぐらいで泣くな。てか抱きつくな!あんたは子供か?」

(雷がこの距離に落ちたら普通は怖いですよ。それに田畑さんですし・・・。)

「うぅぅ。子供でいいから、今はこうさせてぇ・・・。怖い。」

「はぁ、あかりとかミナでもいいだろ。」

「先生の気持ちわかります。孝介にくっつくとなんだか安心するから。」

「そう。孝介様と一緒なら何も怖くない。」

(だそうですよ。)


う、でも先生は彼女でも妻でもない。先生だから、


「先生も怖がっておるのじゃからそのままにしておいてやってくれんかのぉ。」

「お願いします。今だけは抱きつかせてくださ・・・。」


ドガシャーン


「ひゃうぅぅ!」

「はぁ、よしよし。大丈夫だから。」

「うぅぅ。」


よくこれで教師やってこれたな・・・。まぁこれが好かれる部分でもあるのかね?


(ご主人様はどうなんですか?)


まぁ、嫌いではない。というか結局は相手をしてしまうからな。

それからはずっと雨に雷で先生がびくびくしていた。撫でてやると落ち着くみたいなのだが。


だいぶ山の上の方まできた。雨も雷もやむ様子がない。そんなとき、突然


ギュァァゥゥ!!


「ひゃぁうぅ!」

「な、なんだ?さっきのは。」

「明らかに生き物の鳴き声だったよね。」

「それもおっきいやつ。」

「・・・まさか、あいつじゃろうか。」

「あいつ?」

(《ウェザー》ですよ。Sランクの魔物で天候を操れるSランクのなかでも上位に入ります。マップの反応からして間違いないかと。)


Sランクの魔物ウェザーか。


「なら、無視でいいな。」

「うん。そうだね。」

「賛成。無視でいい。」

「そうじゃの。相手するだけ無駄じゃ。どちらかというと相手をすればウェザーがかわいそうじゃ。」

「え、えぇ!みなさんなに言ってるんですか!Sランクです・・・。」


ドガーン


「ひゃうぅぅ!」

「・・・ま、まSランクぐらいなら出会い頭に殺せるし、一応車の魔法銃にチャージしとくか。」


溜めて打てば一発だろ。それからも相変わらず先生に抱きつかれたまま車を運転・・・いや、ゆっくりしていると、


ギュァァゥゥ!!


「あ、出てきたな。ウェザー。」

「あぁ、出てきてしまったのじゃな。ウェザーよ。」

「ならバイバイだね。」

「うん。さよなら。」


黒い蛇のような見た目に硬い鱗。そんなSランク魔物だが、

ドパァァン。ギュァ、ゥ・・・。


「ひぃぃぃ・・・。」


跡形もなく消し飛んだ。まぁ威力半端ないからな。ほら、回りの地面とか溶けてるし。


「あ、孝介、雨もやんだよ」

「元凶を倒したからのぉ。」

「ほら、先生。雷止まったぞ・・・?あ、」

(さっきの魔法銃の音で止めを刺されたみたいですね。)


みたいだな。抱きついた状態で失神してる。それに・・・下の方が冷たい。


「先生、お漏らししてます・・・。」

「孝介様、濡れてるけど大丈夫?」

「あ、あぁ、後で風呂に入るよ。」


実は異空間に風呂を作ったのだ。作っといて良かった・・・。


「ただ、失神してるのに抱きついて離れないんだ。」

「そのままお風呂に入ってきたらいいんじゃん。」

「それはさすがに問題だろ。先生が戻ってきたときにまた失神するかもしれない。」


たぶん顔真っ赤にして倒れると思う。俺はもうあかりとミナとリリのせいで(おかげで?)慣れたからな。


「服を着たまま入ってくるよ。」

「それがいいのじゃ。外の監視はこっちがやっておくからの。」

「ありがとな。」


「ご、ごめんなさいぃぃ!」

おかげで先生の悲鳴が響き渡るだけで済んだ。

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