先生が見てきたこと
「うぅぅ・・・。」
「気がついたか?」
「良かったぁ。」
「孝介様のポーション。大丈夫に決まってる。」
「そうじゃのぉ。旦那様は作るポーションもチートじゃったからのぉ。」
「まぁ、才能がいいに越したことはないだろ?」
できちゃったもんは仕方ないじゃん?
「よ、横井くん?それに井上さんまで・・・。それにほかの二人の方は?」
「久しぶりだな、先生。」
「久しぶりですね。田畑先生。」
「お、お久しぶりです。」
「それとこっちの二人は、」
「初めまして。ミナです。獣人です。」
「妾はリリじゃ。日本からの転生者で元魔王じゃ。」
「獣人に元魔王⁉ど、どういうことですか?」
「私とミナ、あとリリは孝介と結婚したんです。」
「け、結婚!?まだ17歳でリリさんって方は小学生ぐらいですよ!それに三人も一度に結婚だなんて、よくないです!」
「先生、この世界では別に悪いことじゃないらしい。だからいいんだ。」
「こ、この世界ではよくても先生は許しませんよ!」
「田畑先生が許さなくても私は孝介の妻です。」
「私も」
「妾もじゃ。」
俺も今更やめる気なんてないからな。
「う、うぅぅ。」
「それより、なんで先生はこんな砂漠のど真ん中で倒れてたんだ?」
「なんでですか?なんで・・・。あぁっ!みんなが、みんなが大変なんです!」
「クラスのみんなが?」
「はい。頑張って止めようとしたんですけど、み、みんなが奴隷にされてしまって、う、うわぁぁん。」
「おいおい。先生なんだからそんな子供みたいに泣くな。ほらよしよし。」
(先生にまでそんなことするんですか?)
あ、ほら、先生見た目も言動も子供みたいだからさ。ついギュッとしてよしよししたくなっちゃうんだよな。前はこんなことなかったのに。たぶんリリのせいだ。リリはちっちゃくて可愛いからなぁ。
「よしよし、話聞くから泣くな。」
「ひっく、ひっく、す、すいません。子供みたいなまねしてしまいました。」
「大丈夫だ。子供みたいなのはいつものことだろ。」
「な、それはひどくないですか!せっかく「横井くんって優しいんですね。」って思ったというのに。」
「思ってもらわなくて大丈夫だぞ、せんせ。」
「うぅぅ。バカにしてますね・・・。」
「ふふっ、」
「なに笑ってるんですか!」
「そんなことより何があったんだ?」
「そ、そうでした。実は・・・。」
そこらからの話は前にリリから聞いた通りだった。奴隷の腕輪とやらで勇者であるクラスのやつらを強制的に奴隷化され、ポーションによって異常強化されたらしい。先生は奴隷化される前にみんなを連れ出そうとしたらしいが、間に合わず《天与》の《隠伏》で逃げ出してきたらしい。
「わ、わたし、生徒の一人も、ひっく、助けられなくてぇ。」
「だから泣くなって、俺らに伝えてくれたからな。すごく助かった。」
「うぅぅ、横井くん・・・。」
「孝介様優しい。」
「先生が孝介に泣きついてる。なんか複雑な気持ち・・・。」
「まぁ旦那様じゃからのぉ。優しくて強いからの。」
なんか色々言われてるが、先生もしっかりしてくれ・・・。
「旦那様、その異常強化のポーションについてなのじゃが、一度使用すると普通は戻れないみたいなのじゃ。」
「そ、そうなのか。ならクラスのやつらはもう・・・。」
「ただ、ポーションの仕組みさえわかれば、旦那様の《想像》で元に戻せるかもしれんのじゃ。まずはそのポーションを手に入れるべきじゃろうな。」
「横井くんの《天与》?」
「孝介様の《天与》すごい。出来ないことなんてない。」
「あ、そういやまだ説明してないな。実はな《天与》には本質というものが存在するんだ。それを何らかの形で知った場合、世界の理に干渉できるほどの力を得るんだ。」
(すいません、田畑さんに繋げてもらえますか?)
スキルについてはヘルから説明してもらった方がいいな。
「先生、今からヘルを繋げるからな。まぁ、やればわかる。」
「はい?」
(あー、田畑さん、聞こえますか?)
「は、はい。」
では、田畑さんの天与の説明をしますね。(田畑さんの《天与》は《隠伏》。本質解放すると、「自分や近くのものを異空間に移し、任意で異空間に固定できる。」となりますね。)
ほぉ、なかなかすごいこと言ってるな。つまり、
「自分や他の物を異空間に隠したり、敵の攻撃を異空間に飛ばすこともできる。さらに魔法などを異空間に固定しておいて、使いたいときに解放すれば無詠唱、消費魔力無しで魔法をぶっぱなせるってわけだ。」
「とても応用の利くスキルだね。」
「うらやましい。」
なかなか使い勝手のいい天与だな。後でコピーさせてもらおう。
「なんだかすごく強くなれるんですね・・・。」
「みたいだな。後で俺が魔法を色々撃つから固定しといてもらうか。」
「よ、横井くん。ありがとうございます!」
旅の同行人が一人増えたな。あ、そういやそろそろ暗くなってきたのだが、
「そういや、寝るときはどうする?今日は俺も寝るつもりなんだが。」
「私たちは孝介と一緒に寝るけど、」
「そうじゃのぉ、別に先生も一緒に寝ればいいんじゃないかの?」
「私もそれでいい。」
「おいおい。結婚してるみんなはいいが、先生は嫌だろ。」
「あ、私はそれで大丈夫ですよ。私だけ一人で寝るのも、そ、その、怖くて。」
やっぱり子供だ。
「なら決定じゃな。そうと決まればはやく寝る のじゃ。」
「「「おー!」」」
「お、おー?」
大丈夫なのか?
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「い、一緒とは聞いてましたけど一人用ベットとは聞いてないですよ!」
そりゃそうだろうな。
「大丈夫、特別に今日は孝介様の隣を譲ってあげるから。」
「そ、それはもっとダメ・・・。」
「早く寝ましょ、先生。」
「い、井上さん!?だ、ダメですよ!きゃぁ。」
ちょ、いくらなんでも強制的に押し付けて来るな。う、うわぁぁ、
「よ、横井くん。すいません!」
「いや、大丈夫だ、こうなるとうちの妻たちに従うしかないからな、まぁ一緒に寝ようか。」
「うっ、教師なのに、せ、生徒と一緒になんて・・・。」
「先生、顔が真っ赤になっておるのじゃ。そんなに嬉しいのじゃな。」
「早く寝る。とぅ!」
うぅぅ。重い。上にも横にも乗られて抱きつかれて。先生は・・・。なにげに抱きついてきてるじゃんか。あ、子供だもんな。
そんなこんなで眠りについた。疲れた・・・。
先生はヒロイン4?かもしれない