先生との再開
最初は田畑先生(久々の登場)目線です。
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バードッグ王国。この国にはなにか裏がありそうです。神託がどうとか言っていたのに神を敬う宗教のようなものは感じられませんし、あのバードッグ王とやらも何か胡散臭いです。生徒たちは騙せても、教師の目は騙されませんよ!
といってもまだ確証がありませんし。今日も情報収集をすることにしましょう。私の《天与》は《隠伏》隠れた状態で移動できるので情報収集にはうってつけです。《隠伏》を使用した状態で城内を歩き回ること10分ほど、なにやら王様の声が聞こえてきましたね。
「計画は順調か?」
「はい、あとは装備と称して《奴隷の腕輪》をつけさせるだけです。」
「そうかそうか、異常強化のほうはどうなっておる?」
「奴隷化させたあとポーションを飲ませます。」
「ふふっ、ハハハ!これで勇者もこの国の飼い犬となるわけだな。」
おぉぅ、聞きたい情報がてんこ盛り。そんなことペラペラとしゃべってて大丈夫なのかね。
「では、早速奴隷化のほうを進めてまいります。」
な、なんですって?それは不味いですね。急いでみんなを連れ出さなくては!
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翌朝、俺たちは魔王城をでて、テリック女王国へ向かった。
「まず全員にこのブローチを渡しておく。温度調節用だから外に出るときは起動させてくれ。」
「「「わかった(のじゃ)」」」
休憩は交代で行う。自動運転は今日もしっかり動いてくれているので、砂漠に入るまでは大丈夫だろう。リリによると砂漠は魔物に見つかりやすく、また地下からの奇襲を仕掛けてくる魔物も多いらしい。こっちはマップのおかげで魔物の位置がわかり、自動運転もそこを配慮して動いてくれるので安全ではあるのだが、何かあるかも知れないからな。
砂漠に入るまでは1日半ほどある。それから4日ほど砂漠を通ったら今度は山岳地帯に入る。それを抜ければテリック女王国の王都に着く、という感じだ。砂漠に入るまでは比較的安全なため、自動運転に任せて《異空間breakゲート》で休むことにした。
「ゲート起動!」
「おぉ!すごいねこれ!」
「白く光ってる。」
「これは、上出来じゃのう。時間調節は1/10~10倍、サイズ制限はない、すごいのぉ。」
「これでいつもの10分が100分になる。孝介様ともっとくっつける。」
「残念だが、時間調節は俺にしかできないようにしてある。」
「えぇ!それはひどいよぉ。」
「大丈夫じゃ、妾も時間に干渉できるからの。」
「な、なんだって!」
「妾が説明しながら作ったんじゃ。こっそり妾もいじれるようにしておいたのじゃ。」
「やった!リリナイス。」
「リリ最高。これでみんなと孝介様を・・・。ふふっ」
「お、おいおい、なんかこわいぞ?」
10分が100分か・・・。三人も相手にして逃げられるわけないからな。
「「「相手してよね(なのじゃ)」」」
「・・・はいはい、俺に拒否権はないからな。」
ちゃんとやりますよ。
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それからしばらくはなにもなかった。一応魔物に遭遇したりもしたのだが、車が魔法銃をぶっぱなして瞬殺。俺たちがすることは何もなかった。
砂漠に入った。ここからは俺が監視につく。ときどき休憩はさせてもらうが、三時間の睡眠を18 分ですませられるのでできるだけ俺が監視しようと思う。妻に大変なことをさせるわけにはいかないからな。
(大変といっても見てるだけで運転は車がしてくれるんですけどね。)
そ、それはまぁ。見てるのも大変だし。な?
それから二日、特に何もなく快適に過ごしていた。
「外は暑そうだねぇ。」
「車のなかが快適すぎて忘れそう。ここは砂漠」
ほんと快適すぎ。リクライニングを倒してボーッと前を眺めていると、
(ご主人様、マップ少し先に緑のマークがあります。)
「こんなところに人か?ほんとだな。それに動いてない。」
「倒れてるのかな。こんなところで倒れてるって危なくない?」
「とっても危ない。孝介様行ってみよう。」
「そうじゃのぉ。早くいくべきじゃ。」
「あぁ。向かってみよう。」
それからしばらくしてその緑のマークに近づくと、
「誰かいるね。倒れてるよ?」
「ヤバイな。ちょっと行ってくる。」
近くに車を停めてその人を車につれて入る。俺がポーションの準備をしていると、突然あかりが
「孝介!この人!見て!」
「え?どうした・・・って、えぇ!」
「ちょっとあかりも旦那様もどうしたのじゃ。」
「どうしたのあかり、孝介様?」
「この人って・・・。」
小柄で童顔、見覚えのあるこの顔は、
「「田畑先生!」」