VS暗雷土竜
10階層は極端なひょうたんのような形になっており、くびれの部分には扉がついていた、がその手前には大きな穴が空いていた。俺たちはその小さい方の部屋に階段で降りてきたところだ。
「この先に《暗雷土竜》がいるみたいだな。」
(元々はダンジョンボスがいる部屋だったみたいですが、魔獣にやられたみたいですね。)
「やっぱり強いんだね。本気でかからないと。」
「私もがんばる!孝介様のためにも」
俺もできるだけ早く倒したいな、特に黒魔法には注意したい・・・。
「さて、今回は俺とあかりで前衛をする。今回ミナにはこないだ渡した弓で後衛をして、場合に応じて短剣で攻撃してほしい。」
「わかった。」
弓にも魔力タンクはついていて、それで魔力矢や魔法矢を放てる。
「じゃあ行くか!」
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「なにもいないね。」
覚悟を決めて扉を開けたのだが、なにもいないな。
警戒は怠らないようにしつつ、部屋を進んでいく。
「なんか嫌な予感するね。」
「あぁ、そうだな。これって中央に行ったらゴゴゴゴッてくるやつだよな?」
「そんなこといわない。ほんとにそうなったら・・・。」
ゴゴゴゴッ。
(「「「あっ、」」」)
ドォォン!ギュゥゥァァ‼
「ほら、孝介。言った通りになっちゃったじゃん!」
「す、すまん。」
(とにかく早く攻撃しましょう。苦手属性は風と水です。)
「わかった。 《ウィンドアロー》!」
ミナが矢を射ってくれた間に全員が下がって戦闘の準備をする。
「まず俺がいく。そのあとあかりが足止めとダメージ蓄積をしてる間に俺がエネルギーを溜める。ミナはスキをみて矢を射つのと敵の攻撃を崩してくれ!」
「「はい!」」
さて、まずは
「風解放!」
風の付与で先制攻撃をする。相手は土竜なので目よりは腕等を狙うべきか。
ザシュッ ギュゥゥ!
俺の速度に反応できなかった暗雷土竜はすんなりと切らせてくれる。
「あかり!」
「はい!」
そこからはあかりのターンだ。ビックベアのときと同じく見えないほどの速度で切っていく。
「水解放!」
あとはできるだけ溜めて放とうと思ったそのとき
「っ!き、消えたぞ。」
突然暗雷土竜が消えたのだ。
「ど、どこにいったの?」
あかりとミナも戻ってきて背中合わせの状態で警戒する。
(みなさん!下です!もぐっています!)
その瞬間地面が揺れた。とっさに《飛行》で二人をつかんで飛ぶと
ドガァァン!
真下の地面からやつが現れた。そして
ぐわんっ。
急に暗雷土竜から黒い衝撃波のようなものが発生した。
「くっ、これはまさか。黒魔法!」
幸いレジストの高い俺には効かなかったが、あかりとミナは、
「あかり!ミナ!大丈夫か?」
見ると二人は立ったままうつむいていた。これはヤバイ。《想像》では黒魔法の理屈がわからないため解除できない。すると、
「孝介・・・。」
「孝介様・・・。」
「は、はい。」
暗雷土竜はだいぶダメージは受けていたのか動かずに回復しようとしている。勝ちを確信しているのだろうか。俺はこのあと二人に何を言われても耐えるため、心の準備をした。その直後
「「なんで私たちともっといちゃいちゃしてくれないんですか‼」」
「は、はい?」
「ベットで抱きついてもうまくかわされるし、朝はいつのまにか起きてるし。それに最近はキスもしてくれないじゃん!」
「わ、私なんて孝介様にキスしてもらったことないのに!王子様なのに!」
え?え?まさか二人の不満ってそれですか?ま、まぁあんまりいちゃいちゃしたら良くないと思ってやめておくときもあったが、それでもなかなかいちゃいちゃしてると思うが・・・。
「もう私我慢できないもん。孝介といちゃいちゃする!」
「私も孝介様にキスしてもらう。いや、させます!」
お、おいおい。これって不満が解消するまで終わらないんだよな。二人のいちゃいちゃ欲求って解消されるとかあるのか・・・。うわぁ、暗雷土竜まで「えっ?」って感じでこっち見てるじゃんか。
「でもミナ。そうなるとあそこのモグラ、邪魔だよね?」
「うん。邪魔。邪魔物は・・・。」
「「消す‼」」
ふぇぇ!ふ、二人とも怖いよ?ほら、モグラ君(ちょっとかわいそうに思えた)が驚きと怯えの目で見てるじゃんか。
「さぁ~て、お掃除の時間ですね~。」
「早く倒したら孝介様が喜んでくれるはず。ちゃっちゃと消す。」
それからは・・・一瞬だった。傷も癒えきらないモグラ君は逃げる暇もなくあかりの刀とミナの短剣によって滅多切りにされた。
「あ、あー、モグラ君。敵なんだが・・・。ちょっと同情するよ。」
俺が放心しつつ敵だった暗雷土竜に同情していると、
「ふふふっ、やった。倒した。」
「邪魔物、消えた。孝介様といちゃいちゃする。」
「孝介(様)‼」
「う、うわぁぁ。ちょ、ちょっと待て。提案がある!」
「「なに?」」
とりあえずその場しのぎだが、ここでするのはちょっとな
「ここでいちゃいちゃしてもどうせダンジョンを出て帰らないといけない。けど、まずは帰ってギルドに報告さえすればあとはやることもない。ならそこからする方がいいだろ?」
「ちゃんとしてくれるよね?」
「キス、してくれる?」
「あ、あぁ、ちゃんとするから、な?」
「孝介様がそういうなら。今は我慢する。」
「その分存分にさせてもらうんだから。」
は、はぁ。よかった。とりあえず帰れるな。
俺は暗雷土竜からステータスをコピーしてからマジックバックに入れた。
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横井孝介 17歳 Lv43
異世界人 本質解放者
HP 37000/37000
MP 61800/63000
シールド 63000
レジスト 75000
スピード 27000
耐性 36000
スキル 《想像》〔本質〕
《威圧》《鑑定》《強化》
《飛行》《圧縮》《地面操作》
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《地面操作》土や石等の地面を操れる。
だいぶステータスも上がったな。
「さて、帰るか。」
「孝介に乗る。」
「私も。孝介様、乗せて。」
「わかったよ。」
今までは少し自重していた分もあったのだが、不必要らしいので今後は二人ともっといちゃいちゃするべきだな。
早く帰りたいので《飛行》と《地面操作》で天井に穴を開けながら突っ切った。ダンジョン作った人に怒られそうだな、とおもいつつ。そのまま俺たちは飛んだまま中心都市まで帰ったのだった。
全体的にミナの口調を変えました。(あかりとの違いがわかりにくいので。)
少し物静かな感じ。メルヘンになると変わる。